Die
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少女の冷たい笑みは全体を硬直させた。
綺麗な琥珀色の瞳…………睨まれる? そんな優しいもんじゃない。
「兄様はあの瞬間を忘れかけている。あの刹那さえも……」
その胸の傷は誰の傷?
その心臓は誰の心臓?
貴方は私、私は貴方…………運命共同体ですわね。
なら、私の死は兄様の死を意味する。私は死んでいる、でも、兄様は生きている…………矛盾してますわ。
――――――俺の心の隙間から侵入するな!
――――――会話なら夢物語で可能な筈だ!
「まぁまぁ、連れません事」
上品な口調で少女は笑った。
「何年物の時間を共有する私達…………なのに話すのは至極稀な事。
私から話し掛けても無視され、兄様から話し掛けてくれる事も無し…………悲しいです」
――――――俺達の時間は共有されてるんだ……話す必要は皆無だろ?
「時間の共有……その共有された時間、記憶の片隅で私は笑っておりますか?」
――――――…時間、俺たちの時間……それは幻想だよ。
「だからこそ、愛おしい」
――――――俺は愛せないよ、過去を現実を……。
過去は残酷だ。
その形は複雑で少年の運命を変えた。
いや、最初から仕組まれた事とも言える。最後のピースをはめ込んだパズルは完成する事を否定したなら、また別の人生を歩んだ事だろう。
決められた道の到達点は、誰もが望み。自分だけが否定する意味不明な物だった。
あの一瞬を――――――あの刹那の一瞬。
その一言で終わった…始まった。
「お兄ちゃんのご注文は魔法少女なんだね!」
何故、俺は望んだんだ?
俺は普通だ、凡人で良かったんだ。
「兄様……」
少女の冷えた手は少年の頬を撫でる。
気付いてない、冷え切った手の温度を少女自身は気付かない気付けない。
氷…………冷たい、冷徹な手だ。
「貴方は私、私は貴方…………」
――――――俺はお前だ、お前は俺だ。
「兄様、貴方のラストオーダーは必ず叶えますわ」
――――――…………魔法少女。
「私は忘れません。
兄様の最後の願望を…………その罪は後悔の色で染まり貴方の心を満たされる事を祈っております」
――――――なら…………泣くなよ。
――――――反則だろ………………。
少年は少女を抱きしめる。
頭を撫で撫で。少年は笑顔で誓った。
以前から決めた事だ、今更盟約を加える事は不可能だろう。
でも、俺達で誓うんだ。俺達の絆で、俺の信念で…………。
「もぉ、時間ですわね…………」
――――――あぁ、お別れだ。
「また、会えますか?」
――――――会え
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