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歌集「春雪花」
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 心枯れて

  見えぬ月夜の

    さざめきは

 遠く陰りし

   君に届かじ



 寂しさに心が疲れ果て、見上げた夜空には光落とす月もない…。

 彼はきっと…誰かと共にあるのだろう…好きな誰かと…。

 そう思うと胸が痛み、彼を誰にも渡したくない…そんな想いを抱いてしまう…。

 夕の帳が降り、空は時雨…闇が大地を覆う…。

 さざめきは止まらず、侘しい私を苛むが…遠くに行った彼には知る由もない…。

 いや…知る必要もないのだな…。



 切なさに

  玉の緒絶えて

    世も絶えよ

 無となかりせば

     煩うもなし



 彼を想うこの切なさで、私の命が消え…この世界も消えてしまえば良いのに…。

 全て消えて無へと還ったならば…私はもう煩うこともない…。

 彼への想いに苦しみ…哀しむこともないのだ…。




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