第1巻……動き出す緋色の運命
1.1弾 新生活と初陣と……ハヤト編
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」
「セットにしてはなかなか迫力があるな……」
目の前にそびえる廃ビルは七階建てで、大きく解放感のある鉄筋コンクリート製のビルの大型模型だ。
おそらく内部は壁を取っ払った広い空間に遮蔽物を適当に配置した物だろう。
と、こちらに歩いてくる黒髪のポニーテールの女性が手を振ってる。
「よぉーきたな。ウチは今回の試験を担当する事になった蘭豹や」
「これはご丁寧にありがとうございます。僕は天道ハヤト。今日はよろしくお願いします、蘭豹試験官」
オレは猫を被りつつ胸に手を当てつつ頭を下げる慇懃無礼の挨拶を帰す……第一印象は大事だからな。
「リサ・アヴェ・デュ・アンクです!よろしくお願いします!」
リサは元気な挨拶を帰すとシンプルな紺のロングスカートの裾をちょこんと持ち上げてお辞儀する。
蘭豹試験官は「なかなかできた奴らやな」とつぶやきながら感心しているようだ……一応オレも貴族なのでね……。
「自己紹介はここらでえぇやろ。ほな今回の試験内容を説明するで?……ズバリ、鬼ごっこや。」
武偵版の鬼ごっこ……つまり、追跡か?
これは武偵の必須スキルの一つ、抜足、忍び足、尾行と強襲の練度によって格付けが当てはめられる。
「銃の使用はあり。ただし、ゴムスタン弾を使ってもらうで……通常の装弾は危険やさかいにな」
オレとリサは詳細なルールを聞いて納得した。
試験を受ける者はバトルロワイアル方式で相手の生徒を捕縛する、もしくは気絶させる。
その人数に応じて武偵ランクの評価を下されるそうだ。
ちなみに、オレとリサは幸いな事に同じブロックではなかった。
「じゃあリサ。また後で会おう」
「はい!ご主人様!」
オレとリサのやり取りを遠巻きから眺めている男子生徒たちが血涙を流しているのが目に付いたが……放っておこう。
「おい……」
「はい?なんでしょうか?」
オレはいきなり肩を掴まれだが、後ろを見ないで応答した。
「貴族だがなんだか知らねぇが、調子こいてんじゃねぇぞ……?」
「ご忠告、謹んで賜っておきます。ですが……」
オレは頭を少しだけ後ろに向けると派手な毛色に髪を染めた男が立っていた。
「テメェも身の振り方をわきまえろよ……?」
そのまま睨み返して啖呵を切っておいた。
この試験、楽しくなりそうだな……
◯
オレは現在、三対一で戦いを繰り広げていた。
おそらくこの3人組のリーダー格はさっきの派手頭であとは腰巾着……多分、金で雇ったお付きだろう。
武偵は金で動く……自身の試験より金を選択したのだろう。
「なんだ!?こいつの動き……普通じゃねえぞ!?」
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