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101番目の百物語 畏集いし百鬼夜行
第十七話
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ない。だったら引きこもるな、と言いたくなった。

「まあそう言うわけだから」
「なんだか、馴れきってるわね……」
「幼馴染だしな」
「そう言うものなんでしょうか……」

 まあ、仮にも異性なんだからってことなんだろうけど……正直言って実感がないのだから仕方ないと思う。
 と、そんなことを考えながらもう慣れた道を進み、階段を上ってから三つめの部屋に来る。さて、さっさと中に入るか……

「「ちょっと待った」待ってください」
「うん?」

 と、俺がドアノブに手をかけたところで二人からストップがかかった。

「どうしたんだ、二人とも?」
「どうしたとかそう言う問題じゃなくて」
「どうしてそうあっさり入ろうとしているんですか?」
「いや、いつものことだし」

 呆れられた気配がする。

「あのねぇ……着替え中とかだったらどうするのよ?」
「それはさすがに気まずいな……下着さえつけててくれればそうきにならないけど」
「アンタそんなに女慣れしてたっけ!?」
「あいつだけは例外なんだよなぁ……」

 どっちか片方だけでもなかったらあれだけど、両方付けていたらそこまで気にならない。何と言うか、うん。まさか俺に限ってそんなことがあるのだろうかと思ってしまうんだけど、なれちゃったのだ。うん。さらに言うなら、姫子の方も全然気にしないから問題なくなってしまうのである。

「なんにしても、これだけ騒いでて出てこないってことは寝てるんだろ。因みに言っておくが、アイツは扉の前から呼びかけた程度では起きないぞ」
「……それならまあ、仕方ないわね」
「初対面の私たちが起こすというのも、混乱させてしまいそうですし……」

 渋々、と言った様子で二人が同意してくれたので俺は再びドアノブに手をかけて部屋の中に入る。ぐるっと見回してみると、予想通りベッドに膨らみが見られた。
 もう間違いなくそこにいるのは分かったので、そのふくらみに近づいていく。そして枕もとを覗き込んで、確かにそこに顔があって寝ていることを確認。鼻をつまんで、それから口を逆の手ですっぽり覆う。
 しばし待つ。

「ぷはぁ!?」
「よし、起きたか」

 苦しさから目を開けたのを見て、俺も手をどける。幼馴染なだけあってコイツとの付き合いも長く、その中で何度も試行錯誤をした結果判明した起こし方は、今日も絶好調である。

「あー、苦しかった……って、やっぱりカミナか。ヤホーカミナ、元気してるー?」
「ああ、元気だ元気。そしてカミナって呼ぶなおかげで俺の名前を知らないような奴らからもカミナって呼ばれるようになってるんだぞ」
「いいじゃないの、ニックネームで親しみやすい言い先輩ってことで。それに、今更変えるのも無理っしょ」
「確かに、いまさら姫子からの呼び
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