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英雄は誰がために立つ
Life21 蠢く者達
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けないわよ、ミリキャス」

 去って行った列車目掛けて叫びサーゼクスに、不思議そうな顔をするミリキャスとため息をつくグレイフィアは、夫を残して給仕達と執事達を連れて城に戻っていった。


 −Interlude−


 人間界に戻る列車の中で、皆思い思いに過ごしていた。
 1人一誠は、手つかずだった夏休みの宿題をリアスのアドバイスに時折頼りながら熟していく。
 そして士郎は、何故かゼノヴィアに腕を絡められながら横からくっ付かれていた。

 「ゼノヴィア、近いんだが・・・」
 「駄目です。これはマーキングの上書き行為なんですから!」
 「マーキング?何の話だ?」
 「鈍感な士郎さんには期待してません!いいから大人しく私のこの行為を受け入れてればいいんです!!」
 「・・・・・・」

 言いたい事はあったが、どうせ何時もの暴走の類だろうからそのうち収まるだろうと、為すがままに体を任せるように諦めた。
 結局、人間界に着くまでゼノヴィアは士郎から離れる事は無かった。


 −Interlude−


 人間界側の地下ホームに到着してから、忘れ物が無いかなどチェックしてから最後に降りた士郎だったが、最初に目にしたのはアーシアを庇う様に彼女の前に立つ一誠に、傷の入った自身の胸元を彼女に見せつけている悪魔の貴族と思われる変態がいると言う、いきなり残念な光景だった。

 「なんでさ」

 思わず何時ものセリフを士郎は零した。
 もうすぐ夏が終え、秋に移り変わりそうになるこの時期にも、彼らの周りは騒ぎに事欠かなかった。
 士郎と一誠の波乱な日々はまだまだ続く――――いや、今だ前章とも呼べぬような陰りを思わせる一幕だった。
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