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英雄は誰がために立つ
Life21 蠢く者達
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 「お前さん、ゼウスによく会えたのう?」
 「こ、これはオーディン様!私は――――」

 初対面に加えてトンデモナイVIPな人物に士郎は、仰々しく挨拶しようとする。
 しかし、それを掌をはためかせる様にして止める。

 「あー、あー、堅苦しい挨拶何ぞええわい。お前さんの噂は儂の耳にも届いておったんでな、人の身で白龍皇を撃退した現代の英雄に興味を持っただけじゃよ」
 「きょ、恐縮です。ですが、白龍皇を撃退したのは一誠の力ですよ。私はその前にほんの少しの間だけ戦っていただけです。一誠の頑張りがあってこそ、あの日、白龍皇を退けることが出来たんです」

 それを朱乃や祐斗と共に聞いていた一誠は、嬉しさと苛立ちの両方を感じた。
 悪魔に転生した自分とは違い、人の身のまま自分の遥か先を行く士郎に憧れている自分がいる事に気付いていた。
 それ故、先程オーディンが評したように“英雄”と呼んでも過言ではないとすら思っていた。
 そんな歳1つ違いの英雄からの称賛は、僅かな気恥ずかしさと、嬉しさが込み上げて来るモノだ。
 同時に、そんな英雄が過剰過ぎる謙遜な態度と腰の低さに、苛立ちと僅かな失望もあるのだった。
 しかしそんな事は士郎の勝手だと理解位はしているので、納得は出来なくとも何も言わないのだ。

 「――――腰が低いのう。白龍皇を撃退したんじゃ、少しくらい図に乗ってもいいと思うぞい?」
 「い――――」
 「無駄だぜ爺さん。そいつの腰の低さは筋金入りだろう、よ、とと」

 勝手に本人の代わりに答えるアザゼルだったが、脇に抱えていた書類の中から数枚落としてしまう。
 それを、風の北欧魔術を使って書類の下から木枯らしを起こして舞い上がらせて、自分の掌に導く。

 「ほれ、アザ坊――――」
 「サンキュー・・・・・って、如何した?」

 オーディンが見ているのは、アザゼルが落とした書類の中の一枚に乗っている、ある人物の写真だった。

 「こ奴は・・・Kraじゃないか」
 『!!?』
 「爺さん、Kraの事知ってるのか!?」

 オーディンの思わぬ言葉に、堕天使領襲撃を聞いていた或いは報告などで知り得ていた者達は、全員大いに驚いた。

 「何じゃアザゼル、お前Kraの奴の事を知らんのかい。確かお前たちのとこの三すくみの戦争前は、聖書の神もその側近のミカエルも知っておったはずじゃぞ?まぁ、Kraから聞いていた話なんじゃがな」
 「初耳だぞ!というか、ならどうしてミカエルから連絡が来ない!Kraと言うキーワードは送っておいたはずだ!!」
 「それを儂に言われてものう・・・。ん〜じゃが確か、あ奴は色々な名があったはずじゃ。もしかすれば、別の名で名乗っておったのかもしれんな。写真を送れば返事をよこすんじゃない
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