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ウイングマン バルーンプラス編
3 脱出
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瞬、2人の思考を停止させた。
「え? それって……」
美紅は最悪のシナリオを口に出すのが怖くなって、言いよどんだ。
ポドリアルスペースがいきなり解除されてしまえば、つまりは、いきなり町中でこの姿が晒されるということだ。
桃子も同じことを想像した。そして、その最悪の事態を避けるにはできることは決まっていた。
「急がなきゃ! 一刻も早く私の家へ!」
ゆっくりしている余裕なんかないのだ。
「でも、焦っちゃダメ」
アオイは一旦2人に気持ちを制した。
状況を見極めないと、また恥ずかしい姿を人目に晒してしまう可能性がある。
「隠れれる場所を探しながら、慎重に先を急ぎましょう」
美紅と桃子も深くうなずいた。



3.
気持ちは焦っていた。
でも、全力疾走ではなかった。
速足ながら、探偵が尾行をするように、周りの状況を逐一気にしながら3人は先を急いでいた。
1分1秒がとてつもなく長い時間に感じられたが、実際にはそれほど時間は経っていない。

しばらくは何事もなく順調に桃子の家に近づいた。
しかし、同時にタイムリミットも近づいてきた。
「アオイさん、そろそろですよね?」
美紅は状況が気になってアオイに尋ねた。
アオイの作ったポドリアルスペースが一旦、解除されてしまう時間がもうすぐなのだ。
人目につかない場所に避難して、アオイの体力回復を待って、もう一度ポドリアルスペースを作り、その間に歩を進める作戦だ。
敵の攻撃がなかったおかげで、思ったよりは進んだと思うが、まだ桃子の家まで半分を過ぎたくらいだ。
「そうね。どこかで休みたいところだけど……」
そう言いながら前を歩く2人に、桃子は立ち止まって声をかけた。
桃子が立ち止まったのは交差点で、右の方角を指差せいていた。
「アオイさん、こっちから行きましょう」
桃子の家に向かうにはまっすぐ進むのが一番の近道のはずだ。
それは桃子が一番よく知っているはずだった。それなのに違うルートを示した。
「この近くにだったら、たぶん身を隠せる場所があります」
その声を聞いて、アオイと美紅は方向転換し、桃子の後に続いた。
さすがにこの周辺にもっとも詳しいのは桃子だ。
それなら桃子の言うことに従うのが一番の得策だ。
「確かにこっちは人通りが多いし……急ぎましょ」

少し進んだところで、桃子は新築の高層マンションに入った。
建物の中には電子ロックで入れないが、地下1階が駐車場になっている。そこなら鍵がなくとも入ることができる。
新築でまだ入居者も少なく、人の出入りもまだ少ないのだ。
ここなら人目にもつきにくいと桃子は考えた。
アオイと美紅もそれに続いた。

2人が地下駐車場に入った頃に、どこからともなくキュインキュインという異様な音が聞こえてきた。
「何? こ
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