十六話:真実と嘘
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ことをいいことに元々所属していなかったことにして開示してくれないんだ」
アルフからの問いに苦々し気に答えるクロノ。
その真実としてはハッキングとデータの消去は切嗣とスカリエッティが行い。
上層部への圧力は彼等のスポンサーが行ったものだ。
故に管理局には当時の切嗣の写真一枚たりとも情報は残っていない。
そして、切嗣と関わりがあった者達のほとんどは余程の高官でない限りは左遷や口止めをされているのでそこからも情報は出てこない。
魔導士殺しは存在しているのに、その存在を知られないという伝説のような、怪談のような存在と化しているのである。
因みに活動を休止したこともあり一部では都市伝説的な存在になりかけていたりする。
「ホント、そのせいで父様は降格されたしね。恩を仇で返すっていうのはまさにこの事だよ」
「え? それってどういう……」
「クロノがあの子を容疑者に挙げた一番の理由は地球出身ってこと、エミヤは父様が管理局にスカウトしたんだよ」
「本当ですか!?」
明かされた驚愕の真実に信じられないような顔をする、なのは。
ロッテは如何にも恨んでいるといった表情で切嗣について語っていく。
しかし、それは擬態に過ぎない。
いや、少しばかりは自身の主に迷惑をかけた事については恨んではいるが。
これも作戦の一部。正体がばれた時の為の保険。
より良い、状況を作り出すための嘘の前の真実。
「それにしても、良く知ってたね。調べても出てこないでしょ?」
「4、5年前に、グレアム提督に聞いたことがあったんだ。……全部自分のせいだって」
「父様が気にすることなんてないのに……」
自分が間に合わなかったために彼の身に起きてしまった悲劇。
手を差し伸べても結局、彼を救い出すことができなかった後悔。
幼い少女の未来を奪い、その役目を彼に押し付けることになった罪悪感。
普段から弱音など吐くことがないグレアムが罪の意識からつい零してしまった言葉。
クロノはその姿が意外だったこともあり今まで覚えていたのだった。
ロッテは情報の出処を聞いて切嗣が怒るなと考えながらも原因の発端は切嗣自身にもあるのだから許してやってほしいと思う。
「とにかく、確証はないけど魔導士殺しの可能性も頭に入れておいてね。ただ、別人の可能性の方が高いから今後もしっかりと調査を行うこと」
『はい』
「それと、ロッテさん。簡単でいいのでエミヤの特徴を教えてくれないかしら」
「はいよ。まあ、あたしらしく戦い方の指導でも」
内心で来たと呟くロッテ。情報がない状況でそれを知る人物が身近にいれば必ず尋ねる。
確かにそれならば情報は得られるだろう。提供者が嘘をつかない限りは。
「今回、クロノの肩を撃ち
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