十六話:真実と嘘
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作戦の一部である。
元々、切嗣は最後までばれずに済むなどと都合よく考えてなどいない。
ばれないようにすると同時にばれても挽回できる策を作っておいたのだ。
「魔導士……殺し?」
「五年程前まで精力的に活動していた、素顔すら明らかにされていない、フリーランスの暗殺者だ」
「依頼さえ受ければどんな高ランクの魔導士でも抹殺していったことからつけられた名前よ」
管理局には主に上からの圧力で切嗣の素顔を知るすべは残されていない。
魔導士殺しという響きに、思わず聞き返してしまうなのはにクロノとリンディが簡潔に概要を伝える。
その話を聞いてフェイトはそれだけ強いのかと漠然としたイメージを浮かべる。
なのはも同じように思ったらしく尋ねてみる。
「そんなに強い人なんですか?」
「正確な強さは分からないわ。でも、何よりも暗殺者というのが厄介な所なのよ」
「エミヤは手段を選ばない。食事に毒を盛ったり、睡眠時に寝床ごと爆破したり、普通に過ごしている所を狙撃すると言われている。とにかく、相手を仕留めることだけに特化しているんだ。ただ、強いだけよりも余程やりづらい」
切嗣の殺しは正面から堂々と顔を見せ合って行うことは殆どない。
殺された人間は自分が誰に殺されたのかを知ることもなくあの世へと行く。
そして、例え素顔を晒したとしてもそれを見た人間は全てこの世にはいない。
そんなイメージをクロノは闇の書の主に抱いたからこそ調べたのだが、やはり確証を得るには至らない。
寧ろ、そのような思考の人間が何をしでかすか分からないので主であって欲しくないと切に願っているのだが。
なのはとフェイトは二人から聞いた話に思わず顔を青ざめさせる。
純粋に戦うのであればそう簡単に負けないという自信はあるが搦め手には弱い。
毎日、毎食、食事に毒が盛られているかどうかに怯えることや、寝る時ですら安心できないというのは精神にくるものがある。
「次元世界のあらゆる紛争地帯で活動して荒稼ぎしていたみたいだよ」
「管理局の方でも追っているんだが……情報が少なすぎてどうしても捕まらない」
「まあ、元々管理局員だからねぇ。もっとも、十年以上前の話だけど」
『えぇっ!?』
ロッテが溜息と共に吐いた言葉になのは、フェイト、アルフが驚きの声を上げる。
彼女達にとっては管理局員とは正義の象徴であり、悪とは正反対に位置するものという認識なのだ。
「元管理局員だからこっちのやり方は全部知っている。だから、中々捕まえられないんだ」
「それに、用意周到に管理局データベースにあった所属当時のデータはハッキングして消していくし」
「バックアップデータとかはないのかい?」
「それが、上層部が身内の恥だからって消された
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