喪失
[8/15]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「大丈夫です、皆さんの勇気は絶対に忘れません! 人間パチン虎でファーヴニルに頭から突っ込んで行った、皆さんの覚悟は絶対に忘れませんから!!」
「あの……ファーヴニルの左翼を引きちぎるまで、半ば強引に皆を撃ち出したシャッハが言える事なのか、少し疑問よ……?」
「では次にカリムが行きますか? 魔導師ランクが高ければ威力が増す性質があるんでしたよね?」
「頑張って皆さん! 私は全力で皆さんの英姿を見届けるから!」
「一瞬で手の平を返しましたね……」
聖王教会の病院のシェルター、そこの中の形状は地上の病院と似ているため、私にあてがわれた小部屋の前を患者(?)が次々と通り過ぎていく。ここ数時間で運び込まれた患者は皆、頭にたんこぶが出来ているのだが……一体何をしたのだろう?
それはともかく皆が必死に戦ってる中、私は怪我で動けない事がとても悔しかった。無茶をした代償なのはわかってるけど、自分だけ安全地帯のシェルターにいるのがどうしても辛かった。だけど今の私の身体は万全ではない……多少なりとも動きはするのだが、力があまり入らないのだ。その度合いはフォークなどの食器を持つだけで、手がプルプル震えてしまうほど……。こうなった理由は、全身の筋組織がカートリッジの連続使用によるリンカーコアの過負荷によって深刻なダメージを受けたためだ。
あの時……“姉さん達”との戦いがもう後一秒でも長かったら、私の筋組織はズタズタに断裂していた可能性があったらしい。それほどの激戦だった訳だが、やはり彼女達を浄化した所でファーヴニルをどうにかしなければ意味が無い。だから皆の所へ行くためにベッドの縁に手をかけ、上半身を起こそうとしたが……傍で見ていたアルフに止められた。
「動いちゃ駄目だよ、フェイト。まだ身体が回復しきっていないじゃないか」
「でも……皆戦ってるのに、母さんだって頑張ってるのに、私だけこんな……!」
「気持ちはわかるけどさぁ……その身体じゃあ動くのも厳しいって。ここは皆を信じて、吉報を待とうよ?」
「わかってるよ……! わかってるけど……こんな所で大人しくしているのは、やっぱり嫌だ……!」
「嫌だって言われてもねぇ……そりゃ、あたしだってフェイトの思いには出来るだけ応えてやりたいけどさ、無理か無茶をするのが目に見えてわかる場合は流石に止めるよ。大体、動けるだけで大したものだとお医者さんに言われる程なんだから、戦闘なんて出来る訳が無いのはフェイトもわかるだろ?」
「それは………そうだけど……」
「今戦域に向かった所で、言っちゃ悪いけど足手まといになるだけ。それならここで待っていた方が皆も安心するって。そもそもフェイトはこの戦いに十分貢献してるよ、最も重要な本局へ通じる転移装置を確保したんだから。おかげで月詠
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ