喪失
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ってればすぐに他の管理局員を連れて助け出してくれるのに……」
ポツンと広間の奥の方で一人この光景を見ていたオレンジの子は、スバルと同じくらいの年齢なのに冷静に物事を指摘していた。ただ、今の状況で管理局が救出に割ける人員がいるのかって疑問もあるが……それにしても大人より子供の方がまともって、次元世界の人間は本当に大丈夫なんだろうか? ……いや、私達の方が落ち着き過ぎている、とも言える。大人しいおかげでパニックにならないスバルはともかく、私は地球で色々訓練してきたから、いつの間にか危機的状況でも冷静でいられるようになったらしい。
「……」
一方でなぜか不安そうな眼で自分の手を見つめているスバル。彼女に魔導師か何かの力があるのかどうかは知らないが、確かデバイス無しだと魔法が上手く使えなくなるって聞いた事がある。よって誰もデバイスを持っていない今、もし素質があってもこの状況では役に立たないと思う。ま、月光魔法の使い手にデバイスの有無は全く関係ないけどね。
などと思ってたら幸か不幸か、市民のほとんどが入り口に殺到したおかげでスバルを少し成長させたような容姿の少女、ギンガを見つけられた。すぐにスバルが辺りを見回している彼女に呼びかける。
「……あ、ギン姉!」
「え? ……スバル! 良かった……もうどこに行ってたのよ……!」
「ご、ごめんなさい……」
「全く……とにかく無事で安心したわ」
どれだけ心配していたのかを示すように、ギンガはもう離すまいと言いたげにスバルを抱きしめる。なんかこの二人を見ていると、ニダヴェリールでマキナと再会した時を思い出す。誰だって大切な人とは別れたくないからね、会えた時の嬉しさは私もよくわかる。
「あ、す、すみません! お礼がまだでした。スバルを連れて来てくれてありがとうございます!」
「どういたしまして。といっても私は頼まれただけで、特に大した事はしてないんだけどね」
「いえ、スバルと一緒にいてくれたのは確かですから、この子が寂しい思いをせずに済んだのはあなたのおかげです。本当にありがとうございます!」
律儀に頭を下げるギンガの姿に、私はお姉ちゃんらしい心意気が見えた。こういう場合、礼を受け取らないといつまでも話が終わらないだろうから、素直に受け取る事にした。するとホッと安心したのか、ギンガは再びスバルに視線を向けて気持ちを伝える。
「もうこんな大変な時に、フラフラどこかへ行っちゃわないでよね!」
「わかってるよぉ。サバタさんにも怒られたから、もう反省してるよ」
「あれ? サバタさんが来てるの!? ん〜……まあ、あの人が言ったならスバルもちゃんと反省してるよね。それに彼がいるなら、お父さんもお母さんもきっと無事に生き残れるに違いないよ」
「一
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