喪失
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を聞いておけ。あの黒衣の少年の関係者なら、何らかの重要な情報を持ってきているはずだ」
「わかった。ではレジアス、部隊をいつでも動かせるようにしておいてくれ」
という事で強面の局員レジアス中将が立ち去った代わりに槍を持った局員、ゼスト隊長が私の言葉に耳を傾けてくれる話になった。その事に感謝の言葉を伝えた後、私は今も聞こえるこの歌が月詠幻歌である事と、歌い手を何としても守らなきゃいけない事を告げる。ファーヴニルを封印できるのは月詠幻歌の歌い手のみなのだから、この戦いに勝利して生き残るには歌い手の生存が絶対条件なのだ。
話し終わるとゼスト隊長は真摯な眼で「情報提供、感謝する」と言って、レジアス中将の所へ駆けて行った。これで彼ら局員は全力を以って歌い手を守ってくれるはずだ。私自身も護衛に参加したいが……この身体ではまだ無理だろう。やるべき事は終えたのだから、ここは大人しくどこかのシェルターとかに身を隠すのが一番かもしれない。
「ルシフェリオン・ブレイカー!」
「あっ!? アリシアが砲撃に巻き込まれた!!?」
「うわちゃぁああああ!!!? あちちちち!! あ、熱ゥッ!?」
「ね、姉さぁん!?」
なんか上空から放たれた炎熱変換がされた砲撃魔法の流れ弾を喰らって、ジュッと音を立てて氷が溶けた姉さんが地面をのたうち回っていた。凍結魔法から解放されたんだから、むしろ喰らって良かったんだけど……あの痛がり様を見てると、ご愁傷さま、と祈りたくなる。
などと思っていたら、突然ファーヴニルの角が眩い虹色に輝き出した。上空にいるなのはに似た外見の少女が「もしや……!?」と青ざめ、質量兵器の傍に飛んでいった。他の二人の少女もそこに集まっている隣で、暗黒転移で戻ってきたサバタお兄ちゃんと同様に異次元転移でラタトスクも現れる。
「流石ですね、サバタ……まさか歌い手を生存させていたとは。このわたくしも驚きましたよ」
「正直、俺も驚いているがな……あの二人が月の力に覚醒して、尚且つ片方は月下美人に昇華した。更に彼女は自分自身でも知らずに月詠幻歌の継承をしていた。ここまで出来事が重なると運命すら感じる」
「運命ですか……確かに面白い因果ですね。始まりは世紀末世界の月下美人サバタ……次にこちら側であなたが接触した事で覚醒した地球の月下美人、月村すずか。そしてたった今、新たにニダヴェリールの月下美人が誕生した。こちら側へ来てから、あなたはまるで他者を月下美人へと覚醒させる触媒のようですね」
「……ただの偶然さ」
「ものの例えですよ。それに……たかが月下美人が一人や二人増えようが、わたくしの勝利に揺るぎはありません! 月詠幻歌が歌われた時の保険として、わたくしはファーヴニルの最強の切り札をこれまで温存していました。そしてこの
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