喪失
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には出来ないね。……バルディッシュ、座標の固定が完了した?」
そう訊くとバルディッシュはカチカチと点滅して返事した。ちゃんと出来ている合図なのは暗黙の了解で通じてるから、すぐに魔方陣を展開する。
「よし……準備完了。転移するよ!」
そして私達の身体が黄色い光に包まれ、一瞬で遠くの場所へ移動する。そこは斬り落とされたファーヴニルの右腕のすぐ傍で、槍を持った局員と強面の局員の二人が中心となって編成を組んでいる所だった。しかしそれよりも私達は、目の前に広がる戦いに目を奪われていた。
今まで見た事が無い巨大な質量兵器がファーヴニルを正面から抑え込みながら、ミサイルを撃ち尽くした事でくちばしみたいな所から水圧カッターを発射し、周囲にいる魔導師らしき少女達と共にレアメタルの角を徹底的かつ執拗に攻撃していた。一方で両腕と左翼を失っているファーヴニルも右翼の薙ぎ払いや怪奇光線の雨、更に私達が使う魔法と酷似した反撃もしてきている。質量兵器と少女達はその反撃を回避、または防御で対応し、出来るだけ最小限の被害で食い止めていた。
そして……見逃してはならないもう一つの戦いがあった。
[あれは……お兄ちゃん!? 戦ってる相手は……ラタトスクだよ!]
「そっか、やっぱり来てくれてたんだ……! だけど……私でも眼だけしか追い付かない凄まじい転移速度と、背中の魔力に似た力を感じる黒いオーラ……そして母さんが教えてくれた真実、その意味を知ってる私だからわかる。お兄ちゃん、自分の後先を一切考えずに死力を尽くしてる……。あれじゃあ戦いに勝てても……もう……!」
「フェイト、そんな風にネガティブになっちゃ駄目だよ。まだそうと決まった訳じゃない……今あたし達に出来る事を急いでやれば、もしかしたらって可能性も生まれるかもしれないか!」
アルフの励ましは嬉しいよ。嬉しいけど……もしそれで稼げたとしても、その時間は微々たるものだと思う。だから私はこう考えた、お兄ちゃんの戦いに心残りが残らない様に、陰ながら尽力すると。未来を勝ち取って、せめて最期ぐらいは心から安心させたいと。だからこそ、この歌が月詠幻歌で何としても守り切らなくてはならない事を皆に伝えるんだ。
後ろの方でアルフが姉さんからシーツを取り外している中、私は部隊編成を行っている管理局の人達に声をかける。
「す、すみません! 少し話を聞いて下さい!」
「悠長に話をしてる場合ではない! 戦わないなら下がっていろ、小娘!」
「そう突き返すな、レジアス。この子の顔には見覚えがある、確か先日のアレクトロ社の裁判で話題になった……」
「はい、フェイト・テスタロッサです」
「ああ、あの女の娘か。なるほど……それなら部隊の指示は俺が代わりにやっておく。ゼスト、おまえがその娘から話
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