喪失
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位置に倒れる事が無く、今回私はしっかり自分の力で身体を起こせていた。そのままベッドの外に身体を向けてから足を降ろし、グッと手すりを握って痛みを耐えながらアキレス腱を動作させ、2か月ぶりに何とか立ち上がれた。
「大丈夫かい、フェイト? 無理してない?」
「あ、足がプルプルする……はやてもリハビリの時はこんな感じだったのかな……」
足が動かないとここまで不便だったのかと、今更ながらに思い知る。ひょこ……ひょこ……と一歩一歩ゆっくり着実に歩いて、机の上に置いてあったバルディッシュを手に取る。復活したリンカーコアで強化魔法を使って足を補強し、辛うじていつも通り動けるようになった。
「そもそもあたし一人で行けばいいんじゃないかと思ったけど……言っても聞かなそうだね。でも辛くなったら言ってよ、あたしがすぐ支えるから!」
「ありがとう、アルフ。でも私なら大丈夫……アルフは姉さんをお願い」
「フェイト…………わかったよ。外に出してた方が氷も早く溶けるだろうし、それまであたしが背負っとくね」
[オッケー、背負われてお荷物になる覚悟は済みました!]
「なんでそんな自虐的な覚悟をしたのかわからないけど……まあいっか、とりあえず外に行こう。どこかに行った母さんか、もしくは他の人達にこの事を伝えられる人を探すんだ」
という訳でほとんど満身創痍の私と氷漬けの姉さん、唯一健康なアルフはシェルター内の病室を抜け出し、外へと歩み出した。病人服で出ようとしたら流石に目立つと思ったため、違和感を抱かれない様に一応セットアップしてバリアジャケットを展開している。
……え? 姉さんの氷漬けの方が目立つって? 大丈夫、アルフが霜焼けを防ぐためにシーツでくるんでるから、外から一見するだけじゃ分からないようになってるよ。それにここのシェルターの入り口は病院と併設しているためか、患者を一斉搬送するために他より大きく作られているので、誰かに止められる事も無く割とすぐに出られた。
シェルターの出口である聖王教会の病院の敷地内に出た私達は、すぐに湾岸地区の方で激戦が繰り広げられている気配を察知した。しかしファーヴニルの影響で念話が使えない以上、このまま私が直接出向いて教えるしかない。
「とりあえず外に出たおかげで、管理局の集まっている場所がわかった。転移魔法でそこに行くから、アルフは姉さんを落とさないようにね」
「もしそんな真似をしたら、プレシアに殺されちまうよ。大丈夫、ちゃんと掴んでるって」
[はぁ〜いつになったら氷溶けるのかなぁ。一応私も精霊だから死にはしないけど、自分で動けないってのはもどかしいよ]
「炎熱系の魔法が使えるシグナムが無事だったら、その氷もすぐに溶かせたかもしれないんだけど……。彼女もやられてる以上、当て
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