喪失
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〜〜Side ofシャロン〜〜
また激しい地響きが起きた。今の衝撃は割と近くから伝わってきたようで、もしかしたら近くの建物とかが崩れたのかもしれない。
「マキナは大丈夫かな……」
「おねーちゃんも皆の事が心配なの?」
「うん。皆一緒に住んでたから、もう家族みたいな関係だし……危ない目に遭ってたら、心配にもなるよ」
「私も、お父さんとお母さんが心配だよ……。私達や皆を守るために戦ってくれてるけど、ちゃんと帰って来てくれるか不安なんだ……」
帰って来てくれる、か……。私達の中では一人だけ、それが不可能な人がいる。彼は今頃、最後の死闘を繰り広げているのだろう。己の全生命力と未来を贄にして、私達の明日を取り戻すために。
さて……皆が出撃した後、スバルを姉の所まで連れて行くように頼まれた私は、地下シェルターに入ってギンガを探していた。言葉にすればそれだけだが、ここは仮にも管理局の発端の地である第一管理世界ミッドチルダの避難所……大きさが文字通り桁違いだった。微かに流れる空気を見る限り、どうも他の場所のシェルターとは地下深くで繋がっているようで、どこかの入り口が建物の崩落などといった理由で塞がってしまった場合、別の場所から出られるように設計されているらしい。そういう意味では便利だろうけど、代わりに地面に空間を多く作っている訳だから構造的脆弱性も浮かんでしまうし、維持費も無視できない額になっていると思う。人口が多いゆえの苦労が垣間見えるなぁ。
とりあえずどこのシェルターでも避難している人がいるのは入り口の扉を越えた先にある大広間なので、恐らくそこにいるであろうギンガを見つけるべくスバルと共に歩き回っているのだが……いかんせん、大都市の市民が一斉に避難している場所なので、複数の意味で混沌としている。居住スペース自体はそこまで狭くはないため、歩き回る程度なら何の支障も無い。しかしファーヴニルの覚醒によって、二ヶ月もここにいなければならなかった上、その元凶が現在襲撃してきているのだから、市民達のストレスや不満は相当溜まっているようだった。
「チクショウ……なんで俺達がこんな目に遭わなきゃならないんだ……!」
「管理局は何をしているのよ! あんな化け物が襲ってくるなら、その前に何とかしてよ!」
「アハハ……もう終わりだ、世界も何もかもお終いなんだ!」
「だから必要以上に他の世界に手を出さない方が良いって言ってたんだ! これだから本局の連中は……!」
「聖王様、哀れな私達を助けてください……!」
「大丈夫……外にはお兄ちゃんがいる。きっと今日も生き残れる、だから大丈夫よ……!」
歩き回っていると市民達からこんな感じの言葉が漏れ聞こえて来る。今の境遇に怒り、管理局に責任を押し付け、絶望のあまり変
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