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怖い家
3部分:第三章
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た」
「殺されるかと思いました」
 上村は深刻な顔で課長に答えた。
「少なくとも相手は完全に私を殺すつもりでした」
「悪魔としてか」
「何かそんなことを言っていました」
 このこともまた認めるのだった。
「神がどうとか悪魔がどうとか」
「らしいな。わしも話は警察の方から少し聞いた」
「そうでしたか」
「あの男はな」
「ええ」
 話が上村を襲ったその男に関するものに移った。
「元々かなりおかしかったらしい」
「おかしかったのですか」
「近所でも有名な変わり者だったらしい」
 まずはこう言われた。
「それもかなりな」
「かなりですか」
「そう、簡単に言うとだ」
「狂人だったと」
「そう言ってもいいな。何か少しでも気に入らないことがあると発作的に暴れ」
 こうした人間は実際に存在している。
「しかも通常的に嘘をつき窃盗や暴行の常習者だったらしい」
「随分と危険な男だったんですね」
「何でも幼い頃両親から酷い虐待を受けていたらしい」
「虐待をですか」
「それでそうなったらしい」
 男がそうなった理由についても述べられる。何事もまず原因や理由がある。今回もまたそれは同じであった。そういうことであった。
「それでだ。職も長続きせず事故で死んだ両親の保険金や生活保護で生きていたそうだ」
「そうだったのですか」
「家で一人暮らしだったらしい」
 課長はこのことも聞いていたのだった。
「それで一人で暮らしていてさらに生活も人格もおかしくなっていき」
「そういえばですね、課長」
 ここで上村はあることに気付いた。
「どうした?」
「あの男何かやっていたようですが」
 彼が言うのはこのことだった。
「何か?」
「はい、具体的に言うと薬です」
 怪訝な顔で課長に述べるのだった。
「あの男、薬もやっていたんじゃと思うのですが」
「ああ、それか」
 課長はそれを聞いても驚かなかった。むしろごく当然といった様子で聞いていた。
「実はその通りなんだよ」
「そうですか。やっぱり」
「そう思ったのも当然だな、聞くところによるとな」
「ええ」
「やばい筋から薬を手に入れてやっていたそうだ。覚醒剤だ」
「やっぱりそれですか」
 上村もまた話を聞いても全然驚かなかった。これは実経験ではっきりとわかっていることだったからだ。やはりそうかと思うだけであった。
「そう、それで余計におかしかったらしい。近所の人達もそれでさらに付き合わなくなったらしいな」
「そうでしたか、やっぱり」
「君がそこに入ったのはな。運が悪かった」
「運、ですか」
「わしも済まないことをしたと思っている」
 課長は今度は謝罪の言葉を述べてきた。
「そんなおかしな人間がいると聞いていたら注意しておくべきだった」
「いえ
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