第166話 襄陽城攻め前夜1
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軍が蔡一族を襲撃されたので貴方様とのご面会を断念をされたのでないかと思います」
「荀侍中は劉景升殿の消息を知らないのだな」
正宗は念を押すように荀爽に聞いた。
「部下を宜城に残しておりましたが先頃戻って参りました。既に洛陽へ向かったと聞いております。この情勢下で車騎将軍に接触しようなどと考える方ではないかと思います」
「劉景升殿は決断が出来ない御仁のようだな。蔡一族を切り捨てる判断をせねば御身も危うくなることをご承知でない」
正宗は冷徹な瞳で虚空に視線を逸らした。その瞳の先を見るは洛陽に向かう劉表か。
「荀侍中、宜城には主はいないということになるな」
正宗は突然に荀爽に聞いた。荀爽は頷いた。
「劉景升様がご不在ではありますれば、名代がいるのではないでしょうか?」
「名代は劉g殿か?」
正宗は劉表の長女・劉gの名を出した。
「劉g殿はご病弱ゆえ劉j殿ではないかと思います」
荀爽の返答に正宗は驚いた表情を浮かべた。
「襄陽城攻めを目前として放置はできんな」
「いかがなさるおつもりでしょうか?」
荀爽は正宗を窺うように訊ねた。
「劉j殿は蔡徳珪の縁者。姪と叔母の関係。そのような者に城陽の隣である宜城を任せるなどできん。伊斗香、直ちに兵を率い宜城を接収せよ。劉g殿とその縁者家臣は丁重に保護し連れて参れ。蔡一族の関わる者は後顧の憂いならないように全員処刑せよ」
正宗は伊斗香に命令した。
「お待ちください。劉j殿は蔡一族の縁者とはいえ劉景升様の娘にございます。まずは拘束のみに留めて、しかる手続きを踏み刑罰をお下しください」
荀爽の訴えを聞き正宗は考えた。
「伊斗香、劉j殿は拘束し劉g殿と一緒に私の元に連行せよ。ただし、劉景升殿の夫は蔡一族のはず。この者は処刑せよ。荀侍中、これでいいな」
「劉景升殿の夫も拘束でお願いいたします」
「できんな。聞けば劉j殿は姉の劉g殿を蔑ろにし、件の夫と蔡徳珪は共謀し劉g殿を貶める流言を流していると聞き及んでいる。それに劉g殿の病は本当に病なのか? 蔡徳珪は余を殺すために二度も武器に毒を塗布し暗殺者に使用させた。蔡徳珪のやり口を見る限り、劉g殿にも毒を使用し体を蝕ませている可能性もあり得る。そのような恐ろしき考えを持つ者は処刑が相当である」
「その証拠はどこにございます。ただの噂では証拠としてはあまりに不十分でございます。仮に事実であろうと十分な詮議をお願いいたします」
荀爽は正宗に自らの手で処断して欲しいと願い出た。彼女としてはみすみす正宗配下の兵に処刑させることは避けたいようだった。彼女を正宗の元へ送った王允への体面もあるのだろう。それと劉表の恨みを買いたくないと思っているのかもしれない。
「私が直
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