2部分:第二章
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第二章
「かなりね」
「そうか。だったらな」
「何を頼んでくれるの?」
「緑のお茶がいいな、まずは」
彼が最初に選んだのはそれであった。
「あとそれとな」
「それと?」
「饅頭ってのを貰おうかな。いや、饅頭って」
「それは聞いたことあるでしょ」
「チャイナタウンで見たな」
こう述べるのだった。己の記憶を辿ってだ。
「あの柔らかくて白いパンみたいなやつだよな。中に挽き肉が入った」
「日本のは中に甘いものが入ってるのよ」
「へえ、それも面白そうだな」
「じゃあそれにする?」
「ああ、それがいいな」
言われるままそれを選んだのだった。この辺りのやり取りは彼女に言われるがままという感じであった。
そしてその二つを頼んだ。これが二人の出会いであった。ジュゼッペはそれからも店に通いやがてその交際がはじまった。二人は仲のいいカップルになった。
それで仲良く二人で多くの時間を過ごしたがやがて。二人はそれぞれこんなことを考えだしたのである。それは自然となったものであった。
「そういえば」
「そうよね」
二人の考えは一致していた。
「何か俺達だけじゃないよな」
「そうよね。誰かいる?」
最初は何となくそう思ったのである。
「誰か横で見てないか?」
「物陰に隠れてね」
「それでこっそりと」
「覗いてるんじゃないかしら」
二人でいる時にそう考えたのである。同じ考えを抱いたのだ。
「誰が何の目的で」
「覗いてるのかしら」
「まさか」
「そうよね」
そしてこう考えていくのであった。
「俺達の仲を嫉妬して」
「それで仲を裂こうと」
「それで見ているのか?」
「機会を窺って」
考えは最初から被害妄想的なものであった。それははじめから中々強いものであった。
そうしてであった。彼等は二人でいるといつもその視線を感じるようになった。96
「またいる」
「ええ、いるわ」
「見ているよな」
「あそこから」
二人は今は店の中にいた。サリナのその店である。店はいつも繁盛しているがこの時間は閉店間際なので二人以外には誰もいない。いるのは二人だけの筈だ。
だが店の扉のところを見てだ。それで言うのだ。
「また覗いて」
「嫉妬、じゃないわね」
「なあサリナ」
ここでジュゼッペは真剣な顔でサリナに問うのだった。
「御前誰かに怨み買うようなことしたか?」
「あんたは?」
「いつもつけられるようなものはないな」
「私もよ」
「だよな。俺もだ」
ジュゼッペもこう答えた。
「だったらあいつは何なんだろうな」
「ストーカー?」
ここで彼女は言った。
「私への」
「ストーカーかよ」
「ねえ、ジュゼッペ」
サリナはそう感じるとすぐにであった。怯える顔で彼に言って
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