何でも屋のよくある日常にて
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「何よ、アーノルド。こんな風にまた散らかしっぱなしじゃない。掃除してあげているのに何よそれ」
「そんな物は適当に俺がやるから構わない。だからここに来るなと何度言ったら分かるんだ」
「あら、私はアーノルドの相棒だもの。ここに来るのは当然だわ」
言い切るアリシアにアーノルドは深々と溜息をついてから、
「お前に相棒は務まらない。だからここには来るな」
「あら、そんな事を言っていいのかしら。折角、“有機魔素化合物”を持ってきたのにな〜」
そういって瓶づめされた緑色の液体を見せるアリシアに、アーノルドは苦虫をかみつぶした顔になり、
「……それだけ置いてすぐに帰れ」
「んふふ、私が作るこれ、“有機魔素化合物”のおかげで随分ここの家計も助かっているでしょう?」
得意げにアリシアが告げるとアーノルドが沈黙する。
小型の“蒸気機械”、“蒸気強化”などはこれがないと動かす事が出来ない。
蒸気機関の異常な技術進歩によって文明化が成され、この状況なら社会に溶け込めるとそれまで隠れていた“魔女”と呼ばれる太古の文明の末裔達が現れ、伝えたのがこの“有機魔素化合物”だ。
少量しか作れないが為に大規模な発電などには使えないが、その代りに日常で使うには便利な程度に浸透している。
また、これを固形化した物は持ち運びに便利だが、その分保存性もいいといった付加価値化ら値段が跳ね上がるため、アーノルド達は基本的に液体の物しか使用できない状況である。
但し液体でも値段がそこそこいいお値段であるので、この何でも屋を経営していくには予算的な意味でアリシアの才能により作りだされたそれは、アーノルドにとってはとても助かる代物だった。
だがアーノルドとしては、
「その内アリシアの手によらなくても“有機魔素化合物”が手に入る様にしないとな」
「! なんで!」
「アリシアは普通で平穏な人生を歩んで欲しいからだ。こんな危険と隣り合わせな生活ではなく、な」
「わ、私だって手伝いたい! だって、アーノルドの左腕は……」
アリシアがいつも言っているあれを言おうとしたので、アーノルドは何時もの様に気にするなと言おうとして……そこでノックが聞こえる。
現れたのは、蒼いスーツを着た髪の短い女だ。
緑色の髪に赤い瞳のキャリアウーマンの様に見える女性。
胸元のポケットには、薔薇をかたどった様なピンを付けている。
そんな彼女は常に微笑んではいるものの、その瞳は常に感情の色は見えない。と、
「メルシーか。今日は何の用だ?」
アーノルドが彼女の名前を呼ぶ。
それに彼女は相変わらず
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