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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百七十七話 反撃
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だ。上手く行く可能性は低い。帝国軍の別働隊と本隊に挟撃される可能性も有る。だが避ける事は出来ない。この事態を引き起こしたのは私なのだから。
帝国暦 490年 4月 14日 オーディン 統帥本部 シュタインホフ
「では反乱軍はハイネセンに向けて後退しているのだな?」
『はい』
「罠という事は無いか? 卿の艦隊を引き寄せようとしている可能性もあるだろう」
私が問い掛けるとヴァレンシュタインは首を横に振った。
『同盟軍は全力で後退しています。その可能性は低いと思います』
「なるほど」
フム、スクリーンに映るヴァレンシュタインに昂りは無い。信じても良かろう。いつも思うのだが可愛げがないな。少しは功に焦ったり稚気を見せても良いと思うのだが……。
「反乱軍はメルカッツ率いる別働隊がハイネセンに近付いたので慌てて戻った、そういう事か」
『おそらくは』
「どうする? メルカッツにはそのままハイネセンを攻略させるか? それとも反乱軍の艦隊を挟撃するか?」
『どちらも可能ですね』
私に選ばせるつもりの様だ。それとも試しているのか?
「安全策を取るのであれば艦隊の無力化であろう」
『小官もそれに同意します。部下達も喜ぶでしょう、ようやく戦う事が出来ると』
微かに笑みが有った、苦笑か? どうやら部下達を抑えるのに大分苦労したようだ。多少は人間味が出たな。
「なるほど、確かに碌に戦っておらぬな」
『はい』
「良かろう、先ずは反乱軍の艦隊戦力を無力化する。メルカッツには私から伝える。卿は反乱軍に食らい付いて逃がすな」
『はっ』
互いに礼を交わし通信が終了した。本隊六個艦隊と別働隊七個艦隊による挟撃か。反乱軍の命運を決める戦いだ、それに相応しい大きな戦いになるだろう。
帝国暦 490年 4月 14日 帝国軍総旗艦ロキ ヴァレリー・リン・フィッツシモンズ
シュタインホフ統帥本部総長との通信が終ると艦橋の空気は一気に熱を帯びた。ようやく同盟軍を攻撃出来る、挟撃出来る、そう思ったのだろう。戦術コンピュータに映る同盟軍は後退している。それを追うべくヴァレンシュタイン司令長官は艦隊の速度を上げるようにと命じた。
「追撃しながら艦隊の配置を再編します。前に三個艦隊、後ろに三個艦隊。前方の三個艦隊は中央に本艦隊、左翼にレンネンカンプ、右翼にアイゼナッハ艦隊。後方の三個艦隊は中央にミュラー、右翼にビッテンフェルト、左翼にケンプ艦隊。急げ!」
命令が続く。
「御自身で先頭に立つと言われますか?」
ワルトハイム参謀長が驚きの声を出したが司令長官は意に介さなかった。
「指示は如何しました?」
「はっ」
参謀長が慌ててオペレータに指示を出す。リューネブルク大将が
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