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異界の王女と人狼の騎士
第六十一話
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かった。テレビでやっていたからこれが正しいって思っていたわ。間違ったことを当たり前に流しているのかテレビって奴は? 」

「どっかの国の映像だったんじゃない? 今時テレビドラマではそんな食卓の風景は出ないと思うから。……それとテレビの放送が全て正しいってわけじゃないことは正解だよ。ニュースのライブ映像でも現場ではシナリオっぽいものがあるくらいだからね。事前にリハーサルとかも入れるからね。国営放送でさえそれなんだから、民放なんてどんなもんかわかるよね。制作者の意図がもろに反映されたりして決して中立な放送なんてされていないんじゃないのかな。全てが間違いじゃないんだろうけど、情報を取捨選択する必要が我々には必要とされている……ってネットでは書いてあったな」
 俺は誰かの受け売りの話をそのまま聞かせた。

「ふうん。そうなんだ。いろいろめんどくさいのね、何処の世界も。まあ次からはこの食べ方はやめておくわ。確かに見た目にも汚いわね。郷に入れば郷に従えってことでやってみたんだけど、それが嘘じゃあ駄目ね。うーん、それでもこれはこれで美味しかったんだけれどもね」
 そういうと再び食事に戻った。
 テレビではニュースが流れている。
 いつの間にか全国ニュースにからローカルニュースに変わっていた。

「学園都市において、昨日殺人事件が発生し……」
 突然、血なまぐさい話題になっている。
 俺はこの前の蛭町達を殺ったことが発見されたかと思い、テレビのボリュームを上げる。
 テレビ画面には発見現場らしいビルが映し出される。どうやら繁華街のビルの谷間の裏道で事件は起こったらしい。

 どうやら俺の事件ではなさそうだ。
「被害者は30から50代の男性で身元はまだ分かっていません。我々の調査の結果、被害者は鋭利な刃物で斬殺されたもようで、事件現場は……」
 映像が切り替わり、モザイクで顔を隠された男がインタビューを受ける画面に切り替わった。
 目撃者か。
「なんか、こうすごい悲鳴が聞こえて、見に行ったんですよ、そしたら首ちょんの死体があって〜。おええ、なんか気持ち悪くなってきた、ごええええ」
「で、その時、付近には誰かいましたか? 」
 とインタビュアー。
「うーん、すげえ現場見たんであんまり覚えていないんだけど、ビルを駆け上がってく人影をみたような……」
 そこで画面は切り替わり、蝶ネクタイの嘘笑いの似合うアナウンサーの顔がアップで写される。
「事件の続報が入り次第、またお知らせいたします。さて、明日の天気……」

 なんだか結局よく分からないニュースだったが、何者かが殺されたという事実だけが分かった。


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