第六十一話
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ちなみに嗅覚は強化されていない。
???掛け布団から金髪の頭が見えている。
どうやら、まだ寝ているみたいだ。
出会ってからずっと、彼女は完全夜型の生活をしている。
昼間は死んだように眠り、日没とともに目覚め、日の出と共に再び眠るといった生活を続けている。その眠りは人間とは異なり深い深い眠りらしく、少々のことがあっても目覚めることは無いんだ。少々の騒音ではまったく起きる事はなかった。
仮死状態に近い感じなんだもん。
これってかなり危険なんじゃないかなって思うけど、そのことについてはまったく王女は気にしていないらしい。何かセンサーみたいなものでも設置しているんだろうかな?
そして、よほどのことが無い限りはそのリズムを替えることはないようだ。変えられないのかもしれない。
完全に俺たち人間とは逆の生活リズムなんだな。
……まるで吸血鬼みたいだよな、それって。と思う。
部屋は暗室みたいにしておかないと駄目みたいで、遮光カーテンを買いに行かされたもん。それでも完全な暗闇にはできないからぶーぶー文句を言われた。仕方ないんで、スーパーでいらなくなった段ボールをもらってきて窓ガラスの大きさで切り取って、かつガムテープでしっかりと目張りをしている。
見た目はかなり、いや相当に悪いけど、段ボールと遮光カーテンの併用で、昼間であろうともほぼ完全な暗闇が確保されるようになっている。玄関の方にある窓も同じように段ボールで目張りしている。
時計がなかったら何時かわからなくなると思う。
それにしても……、王女は、本気で太陽光線が苦手なのかもしれない。
試してはいないけどね。
でも、彼女のその生活リズムのおかげで、俺は王女との共同生活でもそれほど困らないですんでいる。学校にいる間は、ほぼ寝ているからね。人間と同じリズムなら退屈をさせるはずだけど、全然問題なし。すれ違い生活にならないですんでいるんだ。
異世界から来た彼女にとっては、人間達の生活の方が異常だって思っているのかもしれないけれど……。
俺はキッチンへと移動すると、買ってきた総菜を冷蔵庫に放り込んだ。
冷蔵庫の中には王女のために買ってきた飲み物やスイーツなんかが入っている。
うむ? あまり量は減っていない。
王女は俺と一緒に食事を取るときはそれなりに食べるんだけど、一人でいるときにはほとんど何も食べたりしていないのかな。
アイスが気に入ったとか言ってたけど、それもほとんど手をつけていない。
……あまり人間が食べるものは好きじゃないのかなとさえ思ってみたり。
そもそも向こうの世界では彼女は何を食べていたんだろうって思う。……人間の血だったりして。
でも俺たちと同じ人間がいるかどうかさえ分からないけどね。
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