第五十九話
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俺はじわじわと後退しながら、声を絞り出す。
「その判断は主が行うもの。下僕であるお前が判断するものじゃないわ。覚悟しなさい」
軽くステップを踏んだと思うと、一気に王女は加速した。そして高く飛び上がる。
長いスカートの裾から下着が一瞬見えた。何故か俺はそれに目を奪われてしまう。
攻撃態勢に入っていた王女は、自らの下着が露出し、俺に見られたことに気付き、慌てて裾を押さえようとする。当然、姿勢を乱すことになり、そのまま俺にぶつかってきた。
慌てて俺は彼女を助けようと両手を広げる。
王女は丸まった体勢のまま、俺にぶつかる。彼女を地面に落とさないように俺は彼女を抱きかかえる。
そのまま俺たちは地面へと倒れ込んだ。
鈍い音がしたと思うと、俺は地面で後頭部を痛打していた。
火花が散ったような気がしたと思うと、視界が真っ暗になった。
???しばしの間。
地面に打ち付けた頭が少し痛い。気を失ってしまったのか? あたりは相変わらずの暗闇だ。どうしたんだろう?
これは夢なのだろうか? まさに夢の中にいるような気分だ。
俺が今いる場所も、そしてなぜ暗闇なのかも理解できない。
しかし、……なぜかなんの不安もない。
それにしてもと考える。王女と契約する前だったら、失神しているだろうと思えるほどの衝撃だった。確かに小学生高学年くらいの重さの女の子を抱きかかえたまま、地面に倒れ込んだんだからかなりの衝撃だったんだろう。
彼女を抱きかかえるのに精一杯で受け身なんか取らなかったから。
うん、やはり、夢の中かもしれない。そしてまだ王女を抱きかかえているような気がする。うん、多分そうなんだろう。
まあ、圧倒的な回復力でこんな怪我なんてすぐ回復するさ。考えるのは面倒くさくなっている。
不意に、俺は自分が何かを抱きしめているのを感じる。なんか暖かくて、いい匂いがする。くんくん。それはもごもごって動いたりするんだ。
はて、何だっけ。なんだか柔らかくて気持ちいい感じ。俺は心地よさに、思わずぎゅっぎゅっぎゅっと。その何か柔らかいものを抱きしめた。うーん。なんだか気持ちいい。動物か何かなのかなと思う。
いやがって逃げようとするんで「だめだめ」とかいいながら強く抱きしめる。
ちゅっちゅっ。ちゅっちゅ。
愛情をこめて口付けするんだ。
生き物? が動くたびになんだか良い匂いが漂うから、ついついまた抱きしめてちゅっちゅしてしまうのさ。
それをしばらく続けてしまう。ある程度繰り返すと、満足した。生き物? もあきらめたようで抵抗をやめている。
さて、王女は無事なんだろうか? そう思って俺は思わず閉じた目を開ける。
……そして再び驚くことになる。
顔の直ぐ側には王
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