第五十九話
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を護りたかったから闘ったんだ。死にかけたけど、彼女を救うことができるなら死んでも良かったんだ。これ以上、目の前で誰かを死なすなんて絶対に耐えられないからね。それだけは事実なんだから。貸しを作って王女をどうこうしようなんて全く考えるわけがない。
……それ以前に、根本的な話になるけど、俺はロリコンではない。
論理のスタート地点から王女の考えは間違っているんだ!!
俺がロリコンじゃないのは自明の理。よって、王女くらいの年齢の女の子になど欲情しない。するわけがない。ありえない。天地神明に誓える。ガキに欲情してど〜すんのって。よって王女の俺に対する評価は明らかな間違いであるんだ。
「俺は自分の命に替えても姫を護るつもりだったんだ。それは誓って言える。もう誰も死なせたくはなかったんだ。ぼろくそに言っても構わないけど、それだけは分かってくれ」
「はいはい。ギャーギャー喚かない。お前が喋っていることも、考えていることも全部聞こえてくるんだから。だから嘘は無駄よ」
「そんなことないよ、まじで」
「ホントにそうなの? 」
そういっていきなり王女は俺の直ぐ側に顔を近づけてくる。
透き通りそうなくらい白い肌をしている……当たり前だけど、つるつるですごい綺麗。どこからか、すごくいい香りが漂ってくるし。なんなんだろう、この香り。顔はまだまだガキっぽいけど、それでも年齢以上の色気を漂わせてくるし……。
じっと大きな瞳で俺を見つめている。誘うような、見つめていると引き込まれそうな魅惑的な瞳。
王女は俺の襟首を掴んでさらに引き寄せる。
唇が触れそうになるくらいまで接近している。王女の吐息が俺の肌をなでてなんとも言えない気持ちになってしまう。
あ、キスしちゃうかも。
でもそれはそれでいいかも。
「ほら、やっぱり」
その声に思わず我に返った。
「ふふふん、今お前は邪な思考をしただろう? 」
「そんなことないもん」
明らかな動揺。それは嫌らしい妄想を指摘されたことではなく、キスをしそうになったことで動揺してたんだけど。
「興味がないはずの子供にキスされそうになって、それはそれでありかもって思っただろう? お前の思考は読まなくても丸わかりなんだから。いい加減認めたら? 自分が変態なんだって事を。私の僕である者が変態であることは屈辱ではあるけれども、事実を事実として受け入れられる度量も必要。あえてその異常な精神構造をしたお前をあえて受け入れてやろう。……ただしその悪癖は修正されねばならないけれども」
不敵な笑みを浮かべながら、ボキリボキリと指を鳴らす少女。
その美しさとはあまりに不似合いと思える暴力的な発言、そして邪悪な笑み。
「俺は変態じゃないから修正なんてされる理由がないよ」
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