第五十九話
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だったろう? 」
ガキは王女だろ? 俺は思わず噴き出してしまう。
王女から殺気を感じたが俺は無視した。安全圏まで離れているからね。
「亜須葉様は小さいころから姫様のように驚くほど美しかったです。そして本当に素直なお子様でした。わがままなんていうこともなく、手がかかることなんて全くありませんでした。小さいのに良く気がつく子で、むしろ私が癒されることが多かったと思いますよ。天使とは亜須葉様のような人の事をいうのでは無いでしょうか」
そういって懐かしそうに遠くを見る。
「うんうん。亜須葉は今でこそ偉そうな事を言うようになったけど、いつもお兄ちゃんお兄ちゃんってなついてくれてたなあ。兄貴としても自慢の妹だったよ。同じくらいの女の子でもずいぶん違うんだよなあ」
そういって王女を見る。
王女の眼に殺気が宿ったが、俺が彼女の間合いに入っていないと悟って軽くため息をついた。
「ロリコン連中の話はそれぐらいでやめておきなさい。気持ち悪いわ。ロリコン親父とシスコンの童貞野郎の与太話はそれくらいにしましょう。お前達の話を聞いていると気持ち悪くなるわ」
相変わらず厳しい事をズケズケというなあ、この子は。
俺は王女を見つめる。少し気の強うそうな眼がこちらを見返す。
亜須葉はもうちょっと優しい瞳をしていた。可愛さでいえば甲乙つけがたいかな。身内びいきで妹のほうが可愛いかも。亜須葉は王女みたいに偉そうじゃないし、優しかったぞ。それに王女くらいの歳になっても俺にべったりだったなあ。王女が猫なら亜須葉は犬タイプだな。あの頃までは。今は亜須葉も結構厳しいこと言うからなあ。ああ、あの思い出の日々に戻りたい。
そんな想いが錯綜する。
「おええ」
と、王女。
「どうしたんだ、なんか変なもんでも喰ったのか」
「違う、今、お前は私の事を妹に対するのと同じ嫌らしい目で見ていただろう。卑猥な妄想に私を取り込んだだろう? ああ、寒気がする」
「そんなこと考えてなんかいないよ。亜須葉にも王女くらいの頃があって、可愛い時もあったなあって懐かしんでいただけじゃないか。なんでそこで卑猥な妄想ってなるんだよ」
「お前は”それ”しか考えていないのじゃないの? 」
「王女の中では俺ってどんな人間として評価されているの? 」
「わかりきっていること、ただの変態ロリコンでしょう? 幼児性愛者と言った方がいい? 」
がっくり。命がけで護ったりしたのに、変態扱いかよ……。
なんだかむなしくなった。
「それは酷いよ。俺は姫を必死で護ったんだよ。なのに変態だなんて……あんまりだ。そんな目で見られていたなんて、心外だ」
と言って拗ねてみる。
実際、王女の毒舌には慣れているつもりだったけど、俺は何の他意も無く、ただ王女
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