4部分:第四章
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ープがあるだけだぜ」
また誰かが言った。実際にスープを皿に入れて飲んでみせていた。
「こりゃかなりいけるや」
「本当か?」
「ああ、飲んでみろよ」
他の者にも薦める。
「今日のはかなりな」
「ああ、本当だよ」
薦められた者が実際に飲んでみて頷く。
「こりゃいいや」
「かなりな」
「どうだ?旨いよな」
「そうだな」
「御前もどうだ?」
「ああ、是非共」
ディックは何とか笑顔を作ってそれに応える。
「じゃあ一杯な」
「一杯なんて言わずに幾らでも」
「ほ、ほら早く」
「君はどうだい?」
ディックはここでさりげなくを装ってエミーに声をかけた。
「本当に美味しいからさ」
「いえ、いいわ」
エミーは青い顔でそれに答えた。それまでも表情がなかったが今度は余計にそれが顕著になっていた。
「悪いけれど」
「そうか、じゃあいいよ」
「俺達だけで飲ませてもらおうぜ」
「そうだな、これだけあるし」
彼等はその場をまだ取り繕う必要があった。だがどれだけ取り繕っても不気味なものは隠せないでいたのであった。そればかりはもうどうしようもなかった。
エミーはまだ暗い顔をしていた。それに見かねた者達が彼女に声をかけてきた。
「少し休んだら?」
「そうだよ、夜はまだ長いし」
女達がまず声をかけてきた。皆エミーの同僚か鉱夫達の妻である。その職場や家庭から安易に想像できるように皆結構荒々しい。
「ちょっとね」
「それで気分を落ち着ければ」
「はい」
エミーは青い顔のままそれに頷いた。そして今はそこを後にするのであった。
女達は彼女についていく。残ったのは男達だけになった。
男達はとりあえず生首のことは忘れた。そして飲みはじめた。
彼等は酒豪揃いであった。祝いでとことんまで飲んだ。皆酩酊状態になったところで彼等は散開した。後に残ったのはディックだけであった。
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