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DQ5〜友と絆と男と女  (リュカ伝その1)
11.子供は父を見て大きくなる。大人は乳を見て大きくなる。男限定だけど。
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あっ!リュー君だ!よかった、私から逃げていた訳じゃなかった!

「おぉ!リュカ。何処に行っていた。」
「うん、ちょっと…」
!やっぱり、私に対して余所余所しい!
「そうか…父さんはこれから、ラインハットへ赴かねばならぬ。それ程長旅にはならぬが、お前も連れて行くつもりだ。いつもお前の事を気にかけてくれている、シスター・フレアに挨拶を済ませておけ!父さんは村の入り口で待っているからな」

パパスさんがこの場を去ると、俯くリュー君が呟く。
「あ、あの…シスター・フレア…僕…」
私の事をおねーちゃんと呼んでくれない!
私はリュー君の前に座り、顔を覗き込むが目を合わせてくれない。
私はリュー君の透き通る様な、あの瞳が好きだ。
今朝会った彼も、同じ瞳をしていた。
だから私はリュー君が好きだ。

「ねぇ、リュー君。私リュー君に嫌われる様な事しちゃったかな?」
リュー君の瞳が潤んでる。
すごく苦しそうに…
「ごめんね。謝って許して貰えるか判らないけど…私リュー君に、嫌われたくないから…リュー君の事好きだから…」
リュー君の瞳から、大粒の涙がこぼれ落ちる。
「ごめんなさい…フレアさんが悪いんじゃないの…今朝、男の人との事…見ちゃった僕がいけないの…」
やっぱり、アレを見られてた。
私、最低だ…
「フレアさんを取られた気がして…フレアさんを汚された気がして…ごめんなさい…フレアさんは悪くないの…僕が悪いの…」
心が潰れるくらい苦しくなった。切なくなった。
私はリュー君を抱きしめ、二人で涙を流していた。
ただずっと…声も出さずに…



「えへへ。じゃぁ、僕行かないと。」
リュー君はいつもの笑顔を見せてくれた。
少しだけ目が赤い…きっと私も同じだ。

「なるべく早く、帰ってきてね。」
「うーん、お父さんの用事が終わらないと、僕には…」
くすっ、それもそうね。
「そうだ!フレアさん、これお願いしていい?」
懐から綺麗な桜の枝を取り出し、私に託す。
「僕これから、ラインハットに行かなくっちゃいけないし、僕じゃ枯らしちゃうかもしれないし」
「じゃぁ、リュー君が帰ってくるまで、私が育てるわ」
「ありがとう、フレアさん!それとこれ…」
リュー君は腰の袋から光り輝く宝玉を取り出し私に渡す。
「これは?」
「本当は今朝プレゼントしようと思ってたんだけど…渡しそびれちゃって…」
「こんな高価な物貰えないわ!」
「フレアさんに持っててほしいの。僕、フレアさんが好きだから」
「私も大好きよ」
私はリュー君にキスをした。

柔らかいリュー君の唇を味わい瞳を見つめる。
「じゃ僕行ってくるね」
「行ってらっしゃい、リュー君。気を付けてね」
リュー君を見送り、私は別れを惜しむ気持ちで切なくなる。

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