第二章 【Nameless Immortal】
壱 バカばかりの日
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新しくするのも手だ。新調するなら良いの紹介するよ」
「その辺はおいおいで」
そんなにすぐ変えられるだけの資金がレイフォンにはない。
もうしばらくは今の物に乗っていなければならない。
「結構荒く走ってるみたいだし新調の際はモデルだけじゃなくタイヤの種類見るのも手かな」
「タイヤにも種類ってあるんですか」
「あるよ。ノーパンとか」
ノーパン。
一瞬意味が分からず既知の知識を元に脳裏で変換される。
何故か友人の馬鹿がサムズアップする先日の光景が浮かぶ。
だが流石にそれは無いし何の関係もないので即座に脳裏から消す。
「多分だが今想像しているのとは違うぞ。パンクしないって意味な」
「ああなるほど。というか何を想像したと……普通のとはどう違うんですかそれ」
「シティローラーはランドローラーの派生だな。ノーパンはランドローラーのに近い」
ノーパンタイヤは空気の代わりにジェルや別の素材を詰めている。その分パンクが起きづらい。
デメリットとしては重さや値段、施工の労力さや乗り心地などがある。
元々ランドローラーは荒野を走るためのものだ。パンクは命にも関わるため丈夫なものが望ましい。
そのタイヤがシティローラーの方にも転用されている。
最も充填剤によっては砂利道が苦手だったりもするため完全にランドローラーと同様ではない。
それにノーパンタイヤと言えどパンクしづらいだけで物によってはパンクする。
都市内であれば荒地も少ないため普通のタイヤの方が向いている場面も多い。
その辺りは個人の好みだろう。
エアーでの掃除やオイルの注入、錆落としにミラーの調整。
手慣れた流れで店員は作業をこなしていく。
特に何も出来ないレイフォンはお茶を啜りながら作業をボケッと眺める。
そもこの整備も走行距離の赤ラインが上限突破し周囲からの忠告でやっと来ていた。
「いやーでもいいな。君、新入生だろ。二輪好きが増えてくれると嬉しいよ」
「周りでも余り見ませんけど結構少ないんですか? 店も少ないですし」
「店はなー……台数が少なくはないんだけど割合的に少ないというか」
店員が曖昧に笑う。
どういうことかと疑問を浮かべるレイフォンに店員は説明する。
「台数の大半が配達業用で個人用の需要なんて人口の1%もない。だから一般向け販売店の需要も余りなくてよ。巡回バスの整備もしてるけどそっちが本業みたいなところある」
「ああ……動くならバスですし駐車場の問題とかもありますからね」
レイフォン自身、学生寮にでも入っていたら置く場所に困っていただろう。
「レース大会でもあって興味持って貰えたらいいんだがな。投書してるけど見込みなくてさ」
「投書って生徒会ですか?」
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