第二章 【Nameless Immortal】
壱 バカばかりの日
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んだそれ。会長からだろ」
「さあ。何でしょうね」
三つ折りの便箋を出してクラリーベルは軽く目を通す。
「前に会った時割のいいバイトの紹介頼んだのでそれですね。生徒会が斡旋してるやつの適当なリストです」
「張り出されてる感じのか。そりゃまた親切な」
都市内におけるバイトにもいくつか種類がある。需要が自由な飲食店などの雇用型に都市運営で必須となるインフラ関連の従事型。バイト情報誌を探れば載っている類のものだ。
それらとは別の系統として研究室における研究や実験への協力要請などがある。これらは事務の認証を受け生徒会塔や掲示板に張り出されるものが多い。バイト代が研究費の一部として扱われるためだ。
またそれ以外にも下級生への家庭教師で一部それに属するものもある。
クラリーベルが手に持つ用紙にも生徒会が斡旋するバイトの一覧が載っている。
用紙を受け取った部長がそれを眺めながら流れるような動作でライターを出す。が、隣に居た女生徒がすぐさまそれを奪う。そしてクラリーベルへパスする。
取りあえず空気を読んだクラリーベルはライターを部屋の隅へ投げた。
「なっ、お前ら。……はぁ。バイトなあ。俺もそろそろ何かしないと生活費がやばい」
「あら。結構お金に余裕があるはずでは?」
「金ってのは使ったらなくなるから不便だよな。うちの後輩も返せって煩いしよ」
「駄目だ。ダメ人間だこの人」
返された用紙を封筒に戻してクラリーベルはポケットにしまう。
「取りあえずセッション再開しましょう」
「だな。始めるか」
部長がダイスを握る。
ひたすら頭をからっぽにする時間が再開した。
工業区の端っこに位置する場所にレイフォンはいた。
場所は商業区との境目に近く周囲は閑散としている。そこにある整備店をレイフォンは訪れていた。自分の乗るシティローラーの整備をするためだ。
作業服を着た店員の生徒が機材片手にレイフォンのシティローラーを検査している。
椅子に座わったレイフォンは出されたお茶を啜りながらそれを横で見る。
「結構乗ってるな。古いタイプだし先輩からのお下がりか?」
「バイト先のです。足代わりに使っていいって言われてて」
「へえ。少しガタが来てるから余り無理しない方が良いぞこれ」
「危ないですか?」
「普通に乗る分にはまだ問題ない。ただアクセル効かしても余り力出なくなってるだろうし劣化が早まるな」
店員はボルトの閉まり具合を確かめていく。電気系統のチェックも行いタイヤを軽く手で回す。
「溝もそろそろ危ないなこりゃ。変えるかい」
「タイヤっていくらくらいします?」
「そんなしない。ただ今変えるくらいなら本体ごと
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