第二章 【Nameless Immortal】
壱 バカばかりの日
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だがレイフォンは胡散臭そうに視線を向ける。
「頭脳派? 僕とそこまで大差ないよね」
「その発言、オレもお前も何の利もないな……」
その通りなのでそれ以上の追求をやめる。殴れば殴るほど自分も傷つくだけだ。
「バイト代貰えればいいけどさ。けど面白い仕事だって聞いたから乗ったのに」
とはいえ他に用があったわけでもないのだが。
降ってわいた休暇だ。クラリーベルもアイシャも別々のバイトや用事で動いている。
レイフォン自身欲しい物もあったので言うほど不満はない。
「そっちは安心しろ。荷物の方はもういいって、新しい仕事貰った」
「どんな内容?」
「後でニールが道具持ってくるから、その時話す」
ニールとはバイトをしているもう一人の事だ。一般教養科の男子生徒で名前はニール・ローアン。二つ隣のクラスにいるルシルの友人であり、レイフォンにとって今日が初対面だった相手だ。
他のバイト先で知り合った仲らしく、ルシル曰くその縁で今日も呼んだらしい。
「そういえばニールは? 休憩に入ってから僕見てないけど」
「さっき見たら休憩所にいた。茶啜って煎餅かじってた」
レイフォンの近くにルシルも腰を下ろす。
養殖科が使っている耕地の一角だけあり、地面は柔らかな芝生だ。
二人がいる周辺には何もないが、少し視線を遠くへ向ければビニールシートのプレハブや柵で覆われた作物の姿がある。農業科の敷地も近くにあるのだ。
人工栽培や新種の作物の作成、農薬の実験などの研究用作物だ。その更に外には実習用の小さな耕地もある。
近くを見ても建物の姿が多い。
本格的な植生や栽培は別の場所で行い、どちらかといえばここはあくまでも研究メインの場所なのだろう。
慌ただしく動く学生の姿が見える。向こうも向こうで色々と忙しいのだろう。
「……あれさ」
視界の端。農地を越えたずっと向こうの縁外部近く.
修復作業が行われている遠くの区画をルシルは見て呟く。
「もうちょっと手抜きしてくれたりしないかな」
「大体予想はつくけど何でまた」
「遅れればそれだけ休暇が増えるだろ」
「休みの理由って主に負傷者でしょ? 意味ない気がするけど」
前回の戦いで殆どの一般人はシェルターに避難していただけだ。人的被害は武芸科に集中した。
授業が科ごとに別ならいいがそうなってはいない。クラスは複数の科の生徒で構成され専門科目を除き大抵はそのまま授業を受ける。武芸科の生徒だけ放置して授業を再開、というわけにはいかない。
ある程度は武芸科の生徒が問題なく復帰出来るようになるまで授業は休講となっている。
「それにあまり建設的な意見じゃないよね。休暇が長引くのは嬉しいけど」
「もっと壊れてれば、とは流石に思
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