1部分:第一章
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ジョニーは笑って彼に応える。笑っていても目つきは変わらない。
「かなり掘れた」
「そうか、じゃあもうすぐ億万長者か」
「いや、その前にやらなくちゃいけないことがあってな」
「それは何だい?」
「実家のお袋へのな。仕送りだ」
「ああ、カンサスのか」
「ここ以上に何もない草原だけのな」
「そこにいるんだったな、あんたのお袋さん」
「そうさ、ずっとさ」
ジョニーは言う。
「俺はそれが嫌でここに来たんだけれどな」
「で、金を掘ってると」
「これは前にも言ったな。まあそれでだ」
「ああ」
「今日は奢るぜ。どうだい?」
「悪くないな」
ディックはその言葉を聞いて面白そうに笑った。
「じゃあ一杯やるか」
「ああ」
二人は椅子を並べて飲みはじめた。安い、しかも埃の味のするバーボンだったがそれでも美味かった。二人は心地良い仕事の後の一杯を楽しんでいた。その時だ。後ろに一人の中国人がやって来た。
「おや」
ふとディックを見て声をあげた。たどたどしい、どうやら覚えたての英語である。
「これはよくないな」
「!?よくないってか」
ディックもその言葉に気付いた。そしてその中国人に声をかける。
「チャイニーズの旦那、何か俺の顔にでもついてるのかい?」
「ああ」
その中国人はまずそれに答えた。
「その前にな。俺の名前を言っておく」
「ああ」
「俺はリーという」
中国人はたどたどしい英語でそう話した。
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