第九幕その六
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「そんな羽根を持っていたら」
「僕もそう思うよ」
こんなお話を二人でするのでした、そして。
ここで、です。ポリクロームは鵬さんに飛行船の中から声をかけました。
「いいかしら」
「あれっ、君は確か」
その声を聞いてでした、鵬さんはポリクロームに顔を向けて応えました。
「虹の精霊の」
「私のことを知ってるの?」
「会ったことはないけれど」
それでもというのです。
「知ってはいるよ」
「そうなのね」
「それで虹の精霊さんが僕に何の用かな」
「ええ、実は私達雷の精霊さんの雷玉を探していてね」
「それでその船でお空を飛んでるんだ」
「そうなの」
「それで僕を見てかな」
「貴方とお話をしに来たの」
そうだというのです。
「お姿を見たから」
「そういうことなんだね」
「そうなの、貴方はいつもそうしてお空を飛んでるのね」
「そうだよ、飛びながらね」
そうしつつとです、鵬さんはポリクロームに答えました。
「お空にいるお魚を食べているんだ」
「そうしているのね」
「それでお腹一杯になったら巣に戻っているんだ」
「成程ね」
「そうなんだ、それにしても雷玉は」
この玉についてです、鵬さんも言いました。
「あれはね」
「見たの?」
「いや、見ていないよ」
鵬さんはポリクロームにこう答えました。
「それに凄く小さいものだよね」
「ええ、貴方から見ればね」
翼を広げるとそれこそ一キロはありそうな鵬さんからしてみればです。とにかく物凄い大きさの鳥さんです。
「小さいわ」
「そうだよね、小さ過ぎるとね」
それこそというのです。
「目に入らないよ」
「それでよね」
「うん、ひょっとしたら」
ここでこうも言った鵬さんでした。
「気付かないうちに飲み込んでいるかもね」
「それはないね」
こう答えたのは魔法使いでした。
「避雷針に反応がないから」
「ああ、それはないんだ」
「そう、ないよ」
こう答えたのでした。
「だから安心していいよ」
「だといいけれどね」
「雷玉は別の場所にあるね」
このことは間違いないというのです。
「このお空の何処かに」
「僕が飲み込んでいないならいいよ」
鵬さんも魔法使いの言葉を聞いて安心しました。
「それじゃあね」
「そうだね、それにしても君は本当に大きいね」
魔法使いもその大きさをまじまじと見て実感しました。
「この飛行船も大きいけれど」
「翼を広げたらね」
今実際に広げています、その翼の大きさは本当にかなりのものです。
「その船よりも大きいね」
「そうだね」
「もっと大きくなるの?」
ポリクロームは鵬さんに尋ねました。
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