2部分:第二章
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後
第二章
「やったなあ」
その血だらけの顔で笑いながら言って刺すのだった。刺された相手は腹から血を噴き出す。そのうえで後ろにゆっくりと倒れていく。
ある女の子は捕まえた相手に馬乗りになり包丁で滅多刺しにしている。刺されている相手は胸を鮮血に染めている。女の子の顔も身体も髪の毛までもが返り血に染まっている。
「悪い奴は許しちゃいけないから」
ぐさぐさと何度も刺しながら笑っていた。
「ママも言ってたしね。悪いことしちゃいけないって」
こんなことを言いながらだった。けれどその子も後ろから木刀で別の子に頭を割られて倒れるのだった。
「あはははは、鬼が死んだよ」
倒れたその女の子を見てその木刀の子が笑う。そしてその子もまた。
公園の中で子供達が血に塗れていた。一人が殺せばまた別の一人に殺される。そんなことを繰り返していたがやがて残ったのはあの言いだしっぺの男の子だけになっていた。
「あれ、いないの?」
この子は手に斧を持っている。家の物置から持ち出したものである。その斧も男の子自身も鮮血や脳漿、その他の体液で汚れている。男の子自身もあちこちに怪我をしている。
「誰もいないの?」
返事はない。誰もいない。ただ皆倒れているのが見えるだけだ。
「何だ。つまんないの」
男の子はここで口を尖らせて言った。その返り血でまみれた顔で。
それでふてくされもしたがある女の子が足元に転がっているのが見えた。頭が割れてそこから血を出して白目を剥いて仰向けに倒れている。この男の子が斧で頭を割ったからである。
その女の子を見て男の子はふとその映画のことを思い出したのだった。そうして。
「そうだ。これ持って家に帰ろう」
こう言ってにこにことして斧を振った。そのうえで自分の家に帰ったのだった。
「只今」
「遅いじゃない」
台所からお母さんの声がする。夕食の仕度をしているらしい。
「何処に行ってたのよ」
「公園で鬼ごっこしてたんだ」
「公園ってすぐ側の?」
「そうだよ。皆で遊んでいたんだ」
家の廊下を歩きながら台所に向かいつつお母さんに対して答える。何かを両手にそれぞれ持ちながら。左手に持っているそれはやけに重かった。
「皆でね」
「それはわかったけれど早いうちに帰って来なさい」
お母さんは用事に夢中だった。だから自分の子供の方を見ていなかった。いつもの小言を言うのもどちらかといえばなおざりなものであった。
「わかったわね」
「わかったよ」
「早いとこおやつ食べなさい」
「おやつは何?」
「お饅頭よ」
それだというのである。
「テーブルの上に置いてるわ」
「ああ、これなの」
「あっ、待って」
ここでさらに言うお母さんだった。
「あんた手は洗いなさい」
言いながら我が子がいる後
[8]前話 [1]次 最後
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ