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無邪気
2部分:第二章
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ろの方を見る。すると。
「なっ・・・・・・あんた・・・・・・」
「手を洗わないといけないの?」
「その手に持ってるの何?」
「斧だよ」
 まさにおもちゃを持っているかの様な言葉だった。
「それがどうかしたの?」
「斧って・・・・・・それに」
「ああ、これ?」
 男の子もお母さんが何を言いたいのかわかった。自分の左手に持っているものに対してである。それについて言いたいのだとわかったのだ。
「これ?よし子ちゃんじゃない」
「あんたまさかよし子ちゃんを」
「面白い遊び考えたんだ」
 にこりと笑ってお母さんに話すのだった。
「皆でね。追いかけっこするんだけれど」
「追いかけっこ・・・・・・」
「そうだよ。追いかけっこ」 
 自分の方を向いたまま身体をガタガタ震わせて顔を真っ青にさせているお母さんへの言葉である。
「追い付いたら武器を持ってそこで殺し合うんだ。映画みたいにな」
「それでよし子ちゃんを・・・・・・」
「面白かったよ。けれどね」
 それまではにこりと笑って話していた男の子の口調がここで変わった。その顔も如何にもつまらなさそうになった。そのうえでの言葉だった。
「皆一回死んだら終わりだから。面白くないよね」
 言いながら左手に持っているその女の子を見た。頭が割られそこから血を流し顔全体が真っ赤に染まっている。口からも血を流し白目をむいている女の子を。
「ねえ、よし子ちゃん」
 女の子は言葉を返さない。首だけでそこにいるだけである。男の子は首だけになった女の子に対して無邪気に語り掛けていた。まるで天使の様な笑顔で。


無邪気   完


                 2009・10・7

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