4部分:第四章
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後
第四章
「あの神様にな」
「とりあえずキリスト教の神様と一緒のままでいいんじゃないか?」
「それでいいか」
「ああ、じゃあ祈るか」
「そうするか」
こう言い合うのだった。そのうえでキリスト教式で祈る。それで大丈夫なのかどうか不安であった。しかし神はいたのであった。
吸血鬼達は通り過ぎ彼等は救われた。何とかである。吸血鬼達が消えてからだった。彼等は安堵の溜息を漏らしてそうして言うのだった。
「助かったよな」
「ああ、何とかな」
全身から冷や汗が流れている。助かったことに安心していた。
そうしてだった。彼等はここでまた言い合う。既に酒は抜けてしまっていた。
「しかしな。吸血鬼って本当にいたんだな」
「だよな。しかもキリスト教より前のか」
「いたんだな」
「だよな」
「それにしてもな」
お互い胸の十字架を見る。その十字架をである。
彼等を助けてくれたその十字架をだ。見るとさらに思うのだった。
「この神様が助けてくれたな」
「ええと、アステカだったよな」
「そうだよ。アステカのな」
二人で言い合う。
「ケツアルカトルが助けてくれたんだよ」
「キリスト教以外の神様が助けてくれたのかよ」
それを思うと不思議に思えるのだった。それは彼等がキリスト教徒だからである。だからなのだった。ほっとして話すのであった。
「嘘みたいな話だな」
「ああ。本当にな」
とにかく助かったことに安堵するのだった。その次の日だった。彼等は仕事の休み時間に二人であの老人のところに来た。そうしてそこで話すのであった。
「本当に出たんだよな」
「それで爺さんが昨日俺達に渡してくれたろ」
「あの十字架じゃな」
老人は昨日と同じ場所に座っていた。そうしてそのうえで二人に応えるのだった。
「あれが早速役に立ったのじゃな」
「ああ、そうだよ」
「おかげで助かったよ」
あらためて老人にこのことを話すのだった。そうしてそのうえで礼を述べるのだった。
「有り難うな」
「本当にな」
「助かったのは何よりじゃ」
そのことを素直によかったと頷く老人だった。しかしその表情は変わっていない。
「しかしじゃ」
「しかし?」
「あの吸血鬼のことだよな」
「そうじゃ。これでわかったのう」
こう彼等に話すのだった。
「そうした吸血鬼がいたことがな」
「よくわかったよ」
「本当にな」
彼等もその言葉に対して強く頷いた。
「一時は冗談抜きで終わりかと思ったからな」
「すんでのところだった」
「ならばよい」
また応える老人だった。
「それでな」
「しかしなあ」
「まさかキリスト教以外の神様に救われるなんてな」
「全くだな」
二人から言った。そのキリスト教以外の神のことをである。
「まあキ
[8]前話 [1]次 最後
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ