生の罪科 3
[5/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
女神アリアよ、早く私を浄化してください。
私から、ロザリアを護って。
今度こそ、善を救って……早く……!
『苦しいか』
……苦しい。
もう、嫌だ。
『逃れたいか』
笑顔が見たい。
ロザリアの笑顔を、全部私に向けて欲しい。
ダメだ! 彼女を殺してしまう!!
でも、嫌だ。
あんな風に誰かと親しむロザリアの姿は、もう見たくない。
私だけを見て。
私だけに笑って。
どこまで罪を重ねれば気が済むんだ、私は!!
でも、私は……
『その悩み、俺が引き受けてやろう』
……引き受け、る?
罪を……この、どこまでも腐りきっている魂を?
……それは……
それもまた……罪であると、しても……
ならば……、どうか……
ロザリアを、私から、護って。
私には、もう 耐えられ ない 。
どう、か ロザ リア を たす け て
早朝の教会。
意識は、はっきりしている。
隣で眠っているのは、私と契約した悪魔ベゼドラ。
私の欲をすべて引きずり出して、そして、女神アリアを。
ロザリアを、この体で、汚した。
汚した。
傷付けた。
あの、無垢な少女を。
崇めるべき絶対の女神を。
汚らわしい、この体で……っ!
「ぐっ……ぅ……」
泣いていた。
ロザリアはずっと泣いていたのに!
何故、くり返した!?
今度こそ……クロスツェルとして、今度こそ善を助けたいと!
あれだけ思っていたのに!!
「お母さん、テオ……私は……僕は!」
『クロスツェル』
「…………────っ!?」
声が、聴こえる。
私に語りかける、静けさと穏やかさの中に悲しみが宿った、女性の声。
ロザリアの……アリアの、声?
『クロスツェル』
どうして?
私はベゼドラを利用して貴女を傷付け苦しめ貶めた、賤しい悪だ。
その私に何故、そんな声が聴こえる? 幻聴?
でも。
『クロスツェル……。死なないで……お願い』
「……アリア?」
優しい声が聴こえる。
そよ風がふわりと髪を撫でるように。
そして。
『…………死ぬな。絶対に! 死ぬな!!』
幼い声が激しく胸を叩いて、風と共に消えた。
「ロザリア……」
取り残された静寂。
私に……生きろ、と?
お母さんとテオを殺し。
たくさんの生命を奪い。
貴女を汚して殺しかけた私に。
それでもまだ、生きろと?
何故、と問いかける寸前、記憶の片隅に甦った少女の怒声。
「…………そう、か。私
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ