7部分:第七話
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女!?」
いきなり思いも寄らない単語を聞いてキョトンとした。
「あの、彼女というのは」
「おいおい、ミスティのことだよ。まだ家にいるんだろう」
「あ、そうでした」
それを言われてやっと思い出した。
「彼女今日はオフらしいんですけれど」
「いや、そういう問題ではなくてだ」
所長は言いながら口を尖らせはじめた。
「じゃあ何が」
「いや、いい」
それ以上言うつもりはなかった。そして二人は黙ったままヘンリーの家に帰った。それでこの騒動は一応の終わりを見た。
アニーはそれから二度とヘンリーの前に姿を現わさなかった。何処へ行ったのだろうと思っていた矢先ふとこうした噂が彼の耳に入って来たのであった。
真夜中のボストンの港に車が飛び込んだ、と。運転手は誰かはわからない。自殺だろうと噂されたが詳しいことは一切わからなかった。
「そうか」
彼はそれを聞いて彼女だとわかった。噂であるが彼女が自分でそうして終わらせたのだと思った。それからもアニーを見た者は誰もいなかった。こうして話は終わった。
以後彼は車を買うことはなかった。バイクに移った。だが時々車の店には足を運んだという。そしていつもシルバーの車をいとおしげに見ていたという。まるで恋人を見るように。
アニー 完
2005・8・28
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