7部分:第七話
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リーの横に来ていた。そしてヘンリーのそれと同じく強張った顔で言った。
「正直私も驚いているよ。本当だったとは」
「でしょうね。しかしこれで事件の真相がわかりました」
「ああ」
「アニー」
ヘンリーはアニーに語り掛けた。
「まさかとは思っていたけれど」
アニーは答えない。そのライトの光が弱々しく点滅しているだけであった。それを見ただけで彼女が心を持っているということがわかる。
「今まで・・・・・・君がやっていたことなんだね」
答えはしない。だがそれでも真相はわかった。
「残念だ。君は今まで僕のよいパートナーだと思っていた。それが何故」
「よいパートナーだったからだろう」
ここで所長がこう言った。
「所長」
「パートナーだったからだ。彼女は君を愛していたんだ」
「僕を」
「そうだ。彼女は心を持っていた。それならば君に対して何らかの感情を抱くのは当然だろう」
「はい」
「彼女はマスター、いやパートナーとして君を考えたんだ。最初に出会った時から」
「そういえば」
納得がいった。何故今まであれ程乗り心地がよかったか。それは彼女が彼に対して気を利かせていたからであった。好意故に。
「ではアニーは」
「君を愛しているのだろうな、女性として」
「そうだったのか、アニー」
車だからだろうか。彼女は答えない。しかしその沈黙の中において彼女は答えていたのだ。ヘンリーにはそれがよくわかった。
「そうだったのか・・・・・・。だから」
「おそらくな。そういうことだったのだろう」
「アニー、それには気がつかなかった。僕は君が心を持っていることさえ気付かなかった。まさかそんな」
「普通はこうしたことは有り得ない。だが本当のことだった」
「何ということだったんだ」
「だがヘンリー、わかってるな」
「はい」
ヘンリーは所長の言葉を受けて頷いた。
「わかっています、少なくともわかっているつもりです」
「では君の手で全てを終わらせるんだ。いいね」
「わかりました」
彼はそれを受けてゆっくり前に出た。そして静かな口調でアニーに語り掛けた。
「アニー、よく聞いて欲しい」
アニーのボンネットに手をやる。互いの温かさが感じられた。
「君が愛してくれたのはわかった。それに気がつかなかったのは済まなかったと思っている」
アニーは黙ってそれを聞いている。やはり一言も発しない。所長は二人を見守っていた。まるでヘンリーの後ろを守るかのようにそこに立っていた。
「それを理解したつもりのうえで言わせてもらう。いいね」
そしてまた言った。
「僕を愛してくれていることには素直に感謝したい。だけれど」
「だけれど」
所長は次に彼が出す言葉に注目した。アニーも。
「だからといって他の女性を殺めてはいけない。それ
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