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アニー
7部分:第七話
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「お酒にはね。男には弱いけれど」
「おやおや」
 冗談を交えてそう言う。だがそんな彼女も流石に限界であった。そのままソファーに寝転がってしまった。
「それじゃあね。少し寝かせてもらうわ」
「ああ。じゃあね。夕方には帰るから」
「わかったわ」
 毛布を持って来るともう寝はじめていた。身体にそっとかけて家を後にする。そしてアニーに乗った。
「やっぱりな」
 車を運転してみてそう思った。やはりハンドルもブレーキも調子が悪かったのだ。
 事務所に入るとすぐに所長の部屋に入った。そして何やら話をした後で仕事に取り掛かった。その日はそのまま仕事に専念した。それが終わると家に帰った。所長に何やら話した後で。
 夜にミスティはヘンリーの家を出た。一人であった。夜に女性が一人で歩くのはどうかと言われたがそれでも彼女は一人で家を出た。ヘンリーはそれを玄関で見送っていた。
「やれやれ」
 困った顔をする。そして家の中をチラリと見た。
「まあいいか。本当に女性が一人とは限らないしな」
 そう言って笑うと家に消えた。それから暫く経つと駐車場のガレージがゆっくりと開いた。アニーが音もなく前に出て来た。ライトはもう点いている。そしてそのまま何処へと消えて行った。
 彼女はそのまま夜道を走っていた。寂しい道であった。灯りはあるがぼんやりとしたものであった。アニーはそのぼんやりとした灯りの中を進んでいた。だが一つ奇妙なことがあった。
 その運転席には誰もいなかった。他の席にもいない。しかしそれでも彼女は進んでいた。ハンドルとブレーキ、アクセルだけが動いていた。誰もいない筈だというのに。
 ライトは前を見ていた。何かを探すように辺りを照らす。そして道を進んでいた。
 やがて女の後ろ姿が見えてきた。ミスティに見えた。それを確認するとアニーはスピードを上げた。
 一直線に向かう。そしてそのまま突進する。まるで彼女を狙っているかのように。
「所長!」
 そこで若い男の声がした。
「うむ!」
 女から声がした。それは何と男の声であった。
 道の端からヘンリーが飛び出て来た。そして女を横にはねやった。そのうえでアニーの前に飛び出て両手を大きく広げて仁王立ちになった。
「アニー、止めるんだ!」
「!!」
 それを受けてか、ヘンリーの姿を認めてかアニーは動きを止めた。そしてヘンリーにあたる寸前に完全に停止した。
「思った通りだったな」
「はい」
 ミスティの正体は所長であった。彼はカツラや服でミスティに変装していたのであった。
「まさかとは思ったのですが」
「言っただろう、世の中には科学だけでは説明できないことがあると」
「はい」
 ヘンリーは強張った顔で頷いた。
「まさかアニーが。それも一人でに」
「これが現実だ」
 所長はヘン
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