6部分:第六話
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」
「所長は本当にそう考えておられるのですか?」
昨日は殆ど眠れなかった。ヘンリーは憔悴した顔で所長に尋ねた。
「何をだね」
「アニーが人殺しをしたということをです」
「君は実際に見たのだろう」
「はい」
疲れた声で応えた。
「車の傷が消えていくのを」
「確かにこの目で見ました」
彼はそれを認めた。
「ですが。まさか車が」
「昨日言った筈だが」
所長はヘンリーに親が子供に言って聞かせるような穏やかな調子で語った。
「物が意識を持つという話を」
「それはそうですが」
「傷があっという間に消えたのだろう?それだけで君の車は普通ではない」
「それは認めます」
ヘンリーはそれは否定しなかった。
「しかしですね」
「有り得ないとでも言うのかね?」
「当然ですよ」
彼はまだそれを信じなかった。いや、信じたくはなかった。
「そんな非科学的な」
「確かに非科学的だな」
所長もそれを認めた。
「だがな、科学だけでこの世の全てを断定できるかね?」
「それは」
「それができると言い切れる程君は世の中について無知ではあるまい」
「それはそうですけれど」
「それならばわかる筈だ。いいね」
「具体的には何をやるおつもりですか」
「君の車は確か君が女性と遭えばそうなるのだったね」
「はい」
「私はそれを利用しようと思っているんだ」
「どうするおつもりですか?」
「いいかね」
所長は話をはじめた。そして彼はヘンリーを納得させた。
「いいね」
「それで効果があるのなら」
彼は頷いた。
「宜しくお願いします」
「よし」
これで決まった。ヘンリーはこの謎に関して所長の指示の下動くことになった。すぐに準備がはじめられた。
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