6部分:第六話
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思い浮かんだ。
「時々調子が悪くなるんですよ」
「どういう時だね?」
「どういう時と言われましても」
またそれを聞いて考え込んだ。
「何か時々でしてね」
「今はどうなんだね」
「凄くいいですね」
「そうか」
所長はそれを聞いて何でもないかという顔をした。だがヘンリーはここで言った。
「そういえば」
「そういえば!?」
「何か僕が女の子と知り合いになると急に調子がわるくなるような」
「で、今は調子がいいと」
「はい。まあ偶然でしょうけれどね」
「いや、それはどうかな」
所長は明らかにそこに疑問点を見出していた。
「どう御考えですか?」
「君は日本の妖怪について知っているかね」
「狐や狸、あと鬼の話が多いとは聞いています」
実はあまりよくは知らない。何でもアメリカから日本に渡って文豪になったという人物が昔いたとは聞いている。彼はよく日本の妖怪ものを書いていたというが。
「そうだな。後は天狗か」
どうやら所長は日本のそうした話しに結構詳しいらしい。
「だがな、それだけではないんだよ、日本の妖怪は」
「あと幽霊の話が多いそうですね」
実は彼は現実主義者である。あまりそうした話に興味はないが一応会話ができる程度には話を知ってはいた。
「そしてまだある」
「?それは」
「物がな、妖怪になるんだ」
「物が!?」
「そうだ」
所長が頷いた。
「例えば傘だ。傘が変化して妖怪になるのだ」
「はあ」
これは何処か、映画か漫画でチラリと見たことがある。傘に足が生えて、そして目と口が一つずつある。しかも手まで生えている。独特なデザインだとは思っていた。
「他にも筆や扉もなるな。日本にはこうした話が多い」
「御言葉ですが所長」
「どうした」
「まさか僕の車に何かあると思ってはおられませんか?」
「その通りだが」
彼は答えた。
「まさか、そんな」
ヘンリーは笑ってそれを否定した。
「車がそんな。安物の映画じゃあるまいし」
「しかし実際に調子が女の子と知り合ったら悪くなって、死んだら急によくなるのだろう」
「それはまあそうですけれど。偶然ですよ」
「いや、そうともばかり言えないだろう。実際に君の周りで三人の女性が死んでいる」
「はあ」
「それも怪死ばかりだ。どう考えてもおかしいだろう」
「まあそうですけれどね」
「やはり何かある、まして君の車がそんなに都合よく調子が変わるとすると」
「アニーが彼女達を殺したと?」
「証拠はないがな。ましてやこれはオカルトな話だ」
「はい」
「我々の事務所であやるような仕事ではない。むしろ教会だ」
「エクソシストですか」
「そういった方面だな。まあ君の宗派はどうか知らないがバチカンにはまだある」
「それは聞いたことがあります」
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