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アニー
6部分:第六話
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に鈍い二つの光が煌いた。
 心地良い朝であった。ランニングを済ませシャワーを浴び、食事と身支度を終えて家に出る。そしていつも通りガレージを開けてアニーに挨拶をした。
「おはよう、アニー」
 当然返事はない。だがアニーはどういうわけか上機嫌なように見えた。
「今日も頼むよ」
 そう言いながらキーを入れてエンジンをかける。そして車を前に動かした。
「おや」
 また調子が元に戻っていた。ハンドルもブレーキも軽い。そして乗り心地もいい。実に快適であった。
「またか」
 不思議と言えば不思議であった。いつも急に調子が戻る。だが彼はそれについてあまり深く考えずにそのまま事務所に向かった。そして事務所に入った。
「お早うございます」
「ああ、お早う」
 所長に挨拶をすると彼はいつものように快く迎えてくれた。彼は挨拶の後で自分の机に向かった。そしてそこに座ろうとした。だがここでふと目と耳にあるものが入ってきた。部屋のテレビがつけられていたのである。
「昨日は何かったのかな」
「何でもシカゴの方でマフィアの抗争があったらしい」
 見ればキャスターが真剣な顔でニュースを伝えている。後ろの画面には銃撃戦の後の傷付いた街並が映されていた。そして人相の悪そうな男達の顔も映し出された。
「何か見たことのある顔ですね」
「当たり前だ。あちらの暗黒街の顔役達だぞ」
 同僚の黒人の弁護士がヘンリーに対してそう言った。
「昔からのな。れっきとしたシチリアン=マフィアだ」
「シチリアンか」
 ヘンリーはそれを聞いて考える顔をした。
「身内同士の争いかな」
「どうやらそうみたいだな」
 紹介されている男達の姓は皆同じであった。名前だけが違う。その姓もイタリア系のものであった。
「後継者か何かの争いらしいな」
「よくあることだね」
 ヘンリーはいささかシニカルにそう述べた。
「ああした組織ではね」
 彼はマフィアと関わりになったことはない。元々そうした関係の仕事はこの事務所においては取り扱ってはいない。表の仕事だけを行っているのである。だから彼もそうなのであった。
 マフィア関連のニュースが終わると今度はマサチューセッツのニュースに移った。所謂ローカルニュースである。
「何事もありませんでした、と」
「そうだったらいいね」
 同僚のジョークに笑った。しかしそうもいかないのが世の中だということは彼もよくわかっていた。
 殺人事件のニュースがあった。放火による殺人と銃の乱射だ。アメリカではいつも銃による殺人事件が起こる。アメリカという国の持つ病の一つであった。
「どうしようもないかな」
 彼はそれを聞いてそう思った。実は彼も護身用に家に銃を持っている。誰でも銃が手軽に買えて発砲することができる、それがアメリカであった。彼もそれがよく
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