6部分:第六話
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とした野菜類をドレッシングであえたものである。酸味のあるサラダである。
「どうかしら。御気に召して」
「ああ、素晴らしいね」
メニューを聞いていると笑顔がさらに明るくなってきているのが自分でもわかった。
「是非共頂きたくなったよ」
「じゃあ早く来て。ビールも用意してるから」
「さらに素晴らしいね。今行くよ」
「いらっしゃい、貴方の家へ」
ヘンリーはアニーを駐車場に入れると自宅の中に飛ぶようにして入って行った。そしてそれから数日間彼女と二人きりで過ごした。既にそういう仲となっていたのであった。
楽しい数日間であった。休日でもあったので二人水いらずであった。彼等は心ゆくまで語り合い、共に時間を過ごした。だが時間は過ぎていくものでやがてキャシーがニューヨークに帰る時間となった。
「それじゃあね」
「うん、時間が経つのは早いね」
ヘンリーは玄関でキャシーに対して名残惜しそうにそう言った。
「そういうものよ、時間ってのはね」
彼女は苦い笑いを作ってそう応えた。
「仕方ないわ」
「これは僕の我が侭なんだけれど」
「何かしら」
ヘンリーは打ち明けた。
「二人で住まないか、ここに」
「ボストンに?」
「ああ。それなら二人でずっと一緒にいられるだろ」
「悪くはないわね」
拒否されるかと思っていたが意外にも彼女はそれに乗り気であった。
「ここはいい街だし。考えさせてもらうわ」
「ニューヨークでの君の仕事の都合があるだろうけれど」
「そうね、今の仕事が全部終わったらね」
彼女はさらに前向きな言葉を述べた。
「ここに居候させてもらっていいかしら」
「居候だなんてとんでもない」
ヘンリーは真面目な態度でそう言った。
「パートナーとして。いいね」
「わかったわ。パートナーとして」
「うん」
二人は頷き合った。
「それじゃあね。今度ここに来る時は引越しの時よ」
「ああ、待ってるよ」
プロポーズは上手くいった。ヘンリーはその結果に満足していた。キャシーは家を出てその赤いキャデラックに乗った。そしてボストンを後にしたのであった。
「さてと」
彼はそれを見届けた後で家の中に戻った。
「これからが大変だな」
手続きや式の問題もある。今から気が早いと言われようともそれについて考えるだけで気が楽しくなる。彼はうきうきした気持ちで後片付けをしてベッドに入った。今日の朝まで彼女も一緒にいたベッドであった。
その中に入ってその日は休んだ。次の日から仕事とは別に何かと忙しくなるだろうとあれこれ考えながら眠りに入った。楽しい眠りであった。彼にとっては楽しい日々のはじまりであった。
だがそれを苦々しく思っている者もいる。その者はヘンリーがどう思っているのか嫌になる程知っていた。そして動いた。闇の中
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