5話 ジオンの決断 〜 ルナツー侵攻 9.24
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しつつ帰投する」
シャアは通信を切ると眼下の地球を眺めリラックスしていた。
「私は非力だな。仇も取れず、その仇を上司としてもつこのジレンマ。まあジオンの土地で暮らしていたからこの手の職種には選びようがないが、果たしてジオンが勝ってどう変わるのかな」
元々、ダイクンの子として幾度も命を狙われては名を変えて生き延びてきたシャアにとっては身の安全とできるならば復讐を求め、ジオン軍へ参加、敵の懐に飛び込んだに過ぎない。それ以外のことに考えがまだ及ぶことができなかった。
シャアも年頃になってから自分の親に興味を抱き調べたことがあった。ジオン・ダイクンはスペースノイドの代表格のようなものだった。地球圏の人々にないがしろにされていたコロニーの人々への評価を求めた。暗殺されたことは置いておき、ジオン・ダイクンの革新は戦争を通じてシャアにこのようにたまに考えさせることがあった。
「歴史的にいっても、今のジオンの流れはやむ得ないだろう。抑圧された群衆は民主政治の中では反発を招くものだ。地球に残った特権階級を皆地球から上げなければ、若しくは宇宙の評価を上げなければどうにもならんな。しかし今は私が考えることではないか」
シャアは政治的な出番ではない今は連邦を叩くということに集中することで考えの一端が解消されると考えていた。
ジオンの思想はスペースノイドの独立に他ならない。例え独裁であろうと。連邦にはこの戦争は良いお灸になると安直に考えるしか他なかった。ドズルにも命を預ける気も毛頭ない。しかし、逆らうことはできない。それほど今のシャアは非力だった。
* ルナツー宙域 ルナツー方面軍艦隊司令部 マゼラン級 旗艦 10.10 0:10
ルナツー方面軍司令官のワッケインは押し寄せるジオンの陣容に遠距離からの守勢を試みるため、鶴翼の陣容で艦艇を配置していた。オブザーバー参加としてコーウェン将軍も乗艦していた。
「なんたる覚悟と陣容だ」
コーウェンは唸った。艦艇数はジオンより多いが接近戦に持ち込まれるとモビルスーツには勝てない。ルウムのように悲劇が待ち構えている。
「ご安心を将軍。この宙域より敵を撃退し、この戦争に楔を打ち込んで御覧に入れます。各艦艇、射程距離を保ちつつ第1種戦闘態勢!」
一方のジオン軍は3方向より艦隊をルナツーの連邦の艦隊に等距離で詰めていた。
左翼にドズル艦隊、右翼にキシリア艦隊、そして中央にギレン艦隊とその旗艦巨大宇宙空母ドロスが前面に出ていた。
* ギレン艦隊 ドロス 艦橋
司令官席に鎮座するギレン・ザビがドロスを前面に押し出すように指示をしていた。
通常仕様が側面艦砲を前面に移すように改良済みであった。
「このドロスの対艦火力を連邦艦隊の中央にぶ
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