第十話・外伝「蒼真と神無……」
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方ぐらいの年だとおもう。私が中学生の頃、夏祭りに向けて両親の指導の下、神楽殿で舞の稽古に励んでいた。複雑で疲れる時でも、小学生の弥生に応援されながら、私は徐々に舞の腕前を上げていった」
「……」
ランプの小さな明かりが照らされる蒼真は、表情を変えずただ無言のまま彼女の話を聞き続ける。
「……しかし、白騎士事件が起きる前日のことだった。あの日は祭りの前日でもあり、いつもより夜更けまで稽古に励もうとした。当然、両親と弥生もそんな私の稽古につき合ってくれた。しかし、突然父と母が何かに気付いて、私と弥生に逃げるよう叫びながら私たちを神楽殿から外へ出した途端、神楽殿は一瞬にして炎に包まれた。私は叫びながら燃え盛る神楽殿へ駆け寄ると、そこには燃える柱の下敷きとなり息を引き取る両親の姿が見えて……それを最後に、神楽殿は崩れ落ち、父と母は崩れ落ちる瓦礫に押し潰されて灰となった。そして、泣き崩れる私たちの前に……奴が現れたんだ」
「奴……?」
それは聞くまでもなかった。その正体は紛れもなく篠ノ之束であった。彼女は当時、燃え盛る神楽殿の明かりに照らされた束の姿が今でも頭から離れない。
『あーあ〜……ガキ共は殺りそこなったな〜? ま、いいか? 霊術の継承者だけは潰せたんだし?』
『お、お前は何者だ!?』
『ど〜も? 天才科学者の束さんだよ〜? ハロ! ハロ!』
『……どうして! 父様と母様を!?』
『だってぇ〜? 束さんにとって、霊術なんていう魔法は超〜邪魔なイレギュラーなんだもん♪』
『……のれ……おのれぇ! よくも父様と母様をぉ!!』
『そんなに死にたいの〜?』
『ッ……!?』
咄嗟に、神無は隣で泣きじゃくる弥生を抱きしめて庇う。
『じゃあ、束さんは行くよ〜? グッバーイ♪』
「あの時、私はこれほど人を憎んだことはなかった。そのあと、私と弥生は親戚をたらい回しにされながら中学を卒業し、その後は親戚の家を離れて、二人だけで実家で暮らしだしたのだ」
そこで、神無の話は終わった。そして、彼女は蒼真へ顔を向ける。
「これが、私の過去だ。私は、其方に知ってほしくて話した。別に、蒼真も話さなくてはいけないわけではない。話したくないならそれでいい……」
「……神無は、俺よりもずっと心が強いんだな? 俺とは違って……」
「そんなことはない。私は……」
「俺の過去も聞いてくれるか?」
「……?」
神無は黙って強く頷いた。蒼真は、それに応じて全ての始まりを彼女に話した。
自分が、かつて千冬と交際があったことを、そして白騎士事件に巻き込まれて父親が彼女と束に殺され、母親も束によって自殺へ追い込まれたことを、そして心のない祖父母の元へ引き取られて、その地で虐待された挙句、多くの少女たちに手をかけて大罪を犯したことを……
そして、魁人と出
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