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RSリベリオン・セイヴァ―
第十話・外伝「蒼真と神無……」
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奉仕を終えるとつい見とれてしまうことがある」
「あの夕陽を見てしまえば、今が女尊男卑なんて忘れてしまいそうだ……」
「蒼真殿……」
神無は、彼がリベリオンズに所属していることを考えると何やら宿命的なものを彼から感じた。
おそらく、過去に何か悲しみと憎しみを持ち、今日までそれをバネに生きてきたに違いない……
「……さて、夕食の支度をするか?」
「ああ、手伝おう?」
「良い、其方はそこで夕陽を見ていてくれ? あ、テレビでも見るか?」
「そうはいかねぇよ。居候って身だからな」
「なに、私とて「女」だ。女なら、女としての役割を務めさせてくれ?」
「神無……」
おそらく、蒼真からして神無という女性は今まで見てきた女性の中で最も女性らしい女だと感じた。
今まで彼の目に映ってきた女達は皆が女尊男卑に被れて歪んだ人間達ばかりだった。しかし、この神無には、やや武人のように堅そうな口調であるも、本当は母性溢れる家庭的な女性ではないかと思った。
蒼真は、真剣な眼差しで神無を見つめた。そんな彼に見つめられた神無は、急に赤くなってすぐさま彼に背を向けてしまった。
「ゆ、夕食の支度が整い次第、貴殿に声をかけよう? それまで……ゆ、ゆっくりしておくがいい」
そう、いつものような固い口調で彼女は駆け足で自宅に突っ込んでいった。
「……」
そんな妙な態度をとる神無を疑問に思いながらも、蒼真はしばらく山に沈みかけている夕陽を見つめていた。
それから夕飯になって、二人はいつものように食卓について夕飯を食べ始めた。
いつも神無は、これまで礼儀作法に沿って食事は無言で取っていたが、蒼真に会わせて彼のおしゃべりにつき合っていた。
「おお! この煮物は美味いな?」
「今日、蒼真殿と一緒に収穫した野菜の一つだぞ?」
「へぇ? 自給自足ってのも悪くないな?」
「案外大変だぞ?」
何でもない平凡な会話でも、お互いにとって楽しい食事だった。
食事も終え、風呂も入った。今回は神無はバスタオルを巻いて入ってこなかったらしく、蒼真は一時安心した。しかし、あのときの彼女の肉体がどうも頭から離れられないのは何故だろ?
風呂も出て寝巻に着替え、与えられた寝室へと向かい、布団に入って深い睡眠に入った。
――こういう生活も悪くないな? これが、平凡というものか……
こうした平凡で平和な日々がしばしの間続いていき、蒼真と神無は体外に距離が縮まり、気付いたころには親しい間柄になっている。時折、集落に住む老人たちからは「神無ちゃんのところに男が来た!」、「玄那神社の巫女さんが年端の近い男と結婚した」、などという噂が広まって互いに顔を赤くしあったこともあった。
思いは互いに思い合うようになり、しかし告白する勇気もないままこうした同居生活が今後も平凡に続いていった。
しかし、あ
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