第十話・外伝「蒼真と神無……」
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」
しかし、そう軽く口で言い張ったのだが……それが後に仇となるのは言うまでもなく、蒼真にはよくあることなのだ。
*
「薪割りって……こんなにきつかったか?」
まだ十本も割っていないというのに……今は凄い汗だくになっている。神無は、奉仕以外にこういった肉体労働もしているとはかなりタフである。
「蒼真殿、薪割りを終えたら、次は境内の裏の畑を手伝ってくれ?」
「お、おう……」
まだ仕事は山ほどあるのか……
薪割り五十本をようやく終えた俺は、次に裏側に回ってそこにある畑を耕すのを手伝った。幸い面積はそれほど小さくはなく、手伝ってくれるので楽だった。
「巫女って、百姓もやるのか?」
「半分は自給自足だからな? ちなみに、昨日其方に飲ませた酒も自前だ」
「へぇ〜? しかし、いつもこれを全部一人でやるのか?」
「まぁ……そういうことになるな?」
二人は、そのまま広くなくとも立派な畑を共に耕し合い、気付いたころには昼時であった。
「うむ、今日は蒼真殿も手伝ってくれたからいつもよりも早く片付いたな? では、ここいらで昼食にしようか?」
「よ! 待ってました?」
蒼真は、ササッと桑を片づけて彼女よりも早く食卓へ向かった。
「今日の献立は何だ?」
片づけを終えて一段落終えた蒼真は、台所に顔を出した。そこにはすでに神無が調理の準備を始めている。
「昼は菜っ葉の炒め物でもするか?」
昼は適当にある物をと、彼女はエプロンを付けて蒼真に振り返る。
「お、美味そうだな? 俺も何か手伝おうか?」
「そうだな……食器を卓袱台に並べてもらおうか?」
「いいぜ?」
食器といっても二人分の食事だけ故、枚数も少なくすぐに終わった。引き続き手伝おうとしても、もうすぐ出来上がるからテレビでも見てて待つようにと言われ、蒼真はワイドショーをつけながら台所に立つ巫女を見つめた。
――神無なら、立派な嫁さんになれるだろうな?
そうやって想像をしながら蒼真はテレビをへと視線を戻した。
「ほら、出来上がったぞ?」
大きな皿へ盛り合わせた肉と菜っ葉の炒め物、油でいためた香ばしく、美味そうなにおいが漂ってくる。
「そら、これを食って昼も頑張ってくれ?」
てんこ盛りの茶碗を蒼真へ指しだすと、それを喜んで受け取り、蒼真はガツガツと口へ頬張って美味そうに食い始めた。
その後、彼女の料理のスタミナあってか、境内の掃除も捗り、あっというまに空は夕日に包まれており、空いた時間に蒼真は石段に腰かけてボンヤリと夕日を宥めていた。
「……」
彼は、今日一日を振り返った。
――これが、普通の暮らしというものか……
これもこれで悪くはないな? そう感じながら後ろから歩み寄る気配に気付く。
「神無、この境内から見える夕日は格段と綺麗だな?」
「そうだな……私も、よく一日の
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