第十話・外伝「蒼真と神無……」
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優しく、そして正義感に満ちた立派な殿方だ……」
「……」
「蒼真、これからもずっと……私の傍にいて? 貴方が言うその大罪に、お前が苦しんでいるというのなら、私も共にその罪を背負い、そしてお前と共にどこまででもついて行こう?」
「神無……!」
蒼真も、そんな神無を強く抱きしめ、そして涙だを零しながらこう告げる。
「……こんな……こんな、俺でいいのなら……これからも俺の傍に居てくれ? そして、お前が抱えるその心の痛みと悲しさを、俺の不器用だけど、本気の『愛』で何度でも包み込んで温めてやる!!」
こんなベタで恥ずかし気な台詞しか今の彼には浮かんでこなかった。それでも、彼にとって正直な思いを出しての告白だった。
「ああ……その言葉を待っていたんだ!」
気付いたときには、辺りには寝巻と巫女装束の衣類が散乱し、そして一つの布団の中で互いの裸体を抱きしめ合う男女の姿があった。
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*
ある無人の駅にて
織斑千冬は、蒼真に関して詳細な情報をさらに求めるため、偵察に向かわせた束との連絡を行っていた。
『もしもし、ちーちゃん?』
「束か? 様子はどうだった……?」
『う〜ん……やっぱ、あの神無っていう巫女が黒幕っぽいよ〜?』
「……やはりか、しかしどうすれば?」
『玄那神社の人間は、『霊術』って言うサイキックパワーを使う連中だから……多分、それを扱う人間をやっちゃえば、モヤシも正常になるんじゃない?』
「……つまり、その神無という巫女を?」
『ピンぽ〜ん!』
「だが……私も、これ以上の休暇は無理だ。一旦学園へ戻ってから対策を整えよう?」
『じゃあ〜あ? 束さんが上手く誘き出しといてあげるね〜? ほらほら! 確か、夏休み前に臨海合宿するんじゃなかったっけ? そん時にあの二人をビーチへ来るように上手いこと誘い込んでアッげる〜!』
「そうか……それは助かる。期待しているぞ?」
『まっかせといて〜 束さん、ちーちゃんのためなら何だってするね〜!!』
と、ここで束との連絡は終わった。千冬は次の列車が来るまで無人のホームでただ待ち続けながらこう心に誓った。
――蒼真……神無という巫女の呪縛から、お前を必ず救いだしてみせる!
しかし、その行き違った思いはすでに最悪の方向へ突き進んでいることを、彼女は知る由もないまま学園へ戻っていった。
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