第十話・外伝「蒼真と神無……」
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会ってリベリオンズとしての道を歩み始めたことまで全てを彼女に話した。
「そうか……そのような悲しい過去が?」
しかし、神無は蒼真の話しで、虐めていた女子生徒へ強姦や暴力を振るったり、ましてや放火をしたりする場面など聞いても、彼女は顔いろ一つ変えずに熱心に彼の話す過去を最後まで聞き続けた。
「……其方に、そのような過去が」
「そうさ……所詮俺は頭のイカれた狂人さ? お前のように耐えることもできずに怒りと憎しみにつき動かされて、気が付けば多くの人間を傷つけていた。俺は、こう見えて束以上のキチガイかもしれないな……」
「そんなはずはない! 現にお前は……」
「慰めなんてよせ!」
蒼真が叫んで、両手で頭を抱えると苦しむように唸りだした。
「俺は……ISによって人生を狂わされて生まれた、哀れな悪党さ?」
「蒼真……!」
そのとき、蒼真の頬に神無の暖かな温もりが伝わってきた。彼女の柔らかな掌が彼の頬を包んでいた。そして、真剣な目で彼を見つめた。
「蒼真……見て?」
そういうと、彼から掌を離すと、その掌は紙帯で束ねた黒い髪を解くと、巫女装束の帯へ回し、そしてシュルシュルと布の擦とれる音と共に彼女の裸体が露になる。
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「神無……!?」
何の冗談だか、また酒でも飲んで酔っ払っているのかと思うと、蒼真は気を悪くしてしまった。
「悪い冗談はよせ……!」
「冗談ではない、本当だ……」
と、頬を赤く染める神無は蒼真の後ろ首へ両手を回すと、そのまま彼を自分の豊かな胸元へ抱き寄せる。
「神無……!?」
彼女の弾力と柔らかみ、そして温盛に満ちな胸元へ顔を埋められる蒼真は、目を丸くする。
「私は……お前に、抱かれたい」
神無は、蒼真をさらに強く抱きしめると、彼の髪を優しく撫でまわした。まるで、泣きじゃくる子を抱きしめてあやす母親のように。
「この心の痛みを、分かち合えってくれる人がいつまでも傍に居て欲しい。これ以上一人だと、心が折れてしまいそうで……寂しくて……もう、耐えられない……!」
神無の瞳からホロリと涙が流れた。今まで、無理にでも強がって弥生を守りながら今日まで弱さを見せずに耐え続けてきた。しかし、蒼真という青年と共に生活していくにつれて、共に話し合い、そしてお互いの過去を打ち明け合い、次第に彼に対して強い恋心を抱いてしまう。
「蒼真……私を、抱いて? そして、お前の苦しみを私が解き放ちたい……」
「神無……」
「蒼真、お前は……決して悪人ではない。私の妹を助けてくれたではないか?」
「神無……けど、俺は……」
しかし、やはり自分が今までしてきた罪は消えない。しかし、神無はそれでも構わない瞳をして彼に言う。
「今日まで蒼真と共に過ごしてきて感じたんだ。お前は、決して狂人でも、束と同様な外道でもない。
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