5部分:第五話
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「まさか三塁側で見るつもりじゃないだろう」
「そんなことしたら命が幾つあっても足りないわ」
キャシーは笑いながらそう答えた。
「それは貴方もそうじゃないかしら」
「確かにね」
ヘンリーはそれに頷いた。
「一塁側で見る気はないよ、言っておくけれど」
「わかったわ。じゃあバックネットの方で観る?」
「?チケットでもあるのかい?あそこはそうそう」
「あるわよ、チケットなら」
彼女はそう言ってジーンズのポケットから二枚のチケットを取り出した。見れば確かにバックネットの席のものであった。しかも二つもある。
「それも二枚ね」
「運がいいね」
「運がいいんじゃないわ、さっき買ったのよ」
「よく手に入ったね」
「貴方と裁判所でお話した後ですぐにここに来て買ったのよ。必要になるからと思ってね」
「バックネット側を?」
「そうよ。あそこなら問題ないでしょ、レッドソックスの信者さん」
「参ったよ、ヤンキース信者さん」
そう皮肉を言いながら球場に入った。そしてバックネットの席に二人並んで座った。丁度そこがチケットの席であったのだ。
肝心のゲームであるがヘンリーにとって残念なことにヤンキース優勢のまま進んでいた。レッドソックスは何度もチャンスを作るがそれでも中々決め手を打つことができないでいた。それに対してヤンキースは要所要所をしめ、ゲームを有利に進めていた。キャシーはそれを見てにこやかに笑っていた。
「うちの勝ちみたいね」
「それはどうかな」
だがそれでもヘンリーは諦めていなかった。
「野球は九回まである。まだ六回だ」
「あと三回しかないわよ」
「言い方を変えるべきだな。まだ三回もある」
「逆転できると思っているの?うち相手に」
「当然」
彼は毅然としてそう言い返した。
「ヤンキースが相手だったら楽勝だね」
「言ってくれるわね」
今度はキャシーが憮然となった。
「ゲームが終わってそう言っていられるかしら」
「まあそれは最後のお楽しみってところだね」
「そうね。じゃあヤンキースが勝つと予言しておくわ」
「それなら僕はレッドソックスを」
「勝った方がディナーを奢るってことでいいわね」
「いい条件だね」
ヘンリーの方もそれを了承した。こうして二人はゲームの結果を賭けることになった。ゲームはそのまま九回に入った。ヤンキース一点リードのまま九回裏となった。
ここでレッドソックスは攻勢に出た。ヤンキースのストッパーを攻めてワンアウトニ、三塁となった。一打サヨナラの絶好のチャンスであった。
「さて、と」
ヘンリーはそれを見てにんまりと笑った。ここまできたら絶対に勝てると確信していた。
「次からクリーンナップだ。勝負は決まったね」
「さあ、それはどうかしら」
だがそれでもキャシー
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